2年前の春
高校に入学した私が君の存在を初めて認識したのは授業の時の事だった
相手のイメージを付箋に書くという授業で私は君から「青空みたいな人」という付箋を貰った
こんなに生きるのが上手な人を見るのは初めてだった
著しいコミュ力の低下からあまり人と話す姿はみかけたことがなく、そんな君に対して みんなはあれでは社会に出た時苦労すると散々言っていた
私には分からなかった
知る度に、見る度に君のことが気になって仕方なかった
一方君は私や他のクラスメイト、先生なんて眼中にないように好き放題やっていた
関係が進展しないまま夏を迎えた
今年も夏は暑く自分が小さい頃はもっと涼しかったとまるで誰かを責めるようなことを毎日のように呟いた
君と一緒に所属していた部活は結局1度も参加せず夏は過ぎた
もちろん君も一度も参加しなかった
楽な方向ばかり行く人間はろくな人生を送れないとか誰かが言っていた
楽な方を選び続けたって大変な方を選び続けたってゴールは一緒なんじゃないかと思ってきた。何となく
部活に行かない代わりに何かを頑張った訳でもないため夏を制することが出来なかった私たちは完全なる敗北者だった
いいんだよ。どれだけ頑張ったって夏の主役は甲子園球児に持っていかれるんだから
私たちは顧問の先生に呼ばれて放課後小会議室に向かった。私が前を歩きそれに君が着いてくる。玄関まで来たあたりで君は私の腕を掴んだ。
「僕の家の近くにかき氷屋さんがあるんだ。食べに行こうよ」
私たちは一度教室に荷物を取りに行き外へと出た。1つもキーホールダーの付いていないスクバをぶん回しながら緑に染った桜並木を走った。ブランドを背負った私たちは無敵でキラキラしてた。みぞれのかき氷を頼む君はやっぱり生きるのが上手だった。
乱雑に口にほおりこむと甘さが広がった。ブルーハワイを頼んだ私は舌を出して”青いでしょ”と分かりきったことを聞いた。どんな味なのか聞かれたのでスプーンで少し掬って君に差し出した。横に座っていた君はシャンプーを香らせながらじっくり味を感じた。 君の口が少し青く染まった。スプーンに乗せたブルーハワイは床に落ち水滴と化した。
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