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ノア「いやぁこのまま、あそこの住人になっちゃうかと思ったよ。」
カイオス「本当に悪い。ここは比較的涼しい地域だし、寒かったろ。」
そう言ってカイオスは湯気の出ているマグカップを差し出す。
ノア「そう気を使わなくていいって。」
カイオス「覚えているにも関わらずというのは流石にクズというか…」
ノア「村の付近とはいえ、森に何の準備もなしに行くとミイラ取りがミイラになる可能性もあるし仕方ないよ。」
ベツレヘム「凄い、リーダーに怒られた時並に顔がしょぼしょぼしてる。」
ジーク「1歩間違えたら普通手遅れだからな…」
ノア「だから大丈夫だって。お土産貰ったしそれでどうにかなったから。それに僕は君達のような餓死の概念はないし…」
そう言ってノアは突き立てた人差し指に火を灯す。
マリア「…アカネ」
ノア「…よく気づいたね。これはヒトのアカネ君に教えてもらったんだよ。」
マリア「なんとなくだけれどね。でもどうして…」
ノア「どこから話そうか…」
ノア「とりあえずこの話はこれでおしまい。それと、その空間で一つ伝言を預かったんだ。」
マリア「聞かせて。」
ノア「『ずっと愛してる。心配なさそうだけど、僕のことわざと早く追ってこないでよね。…本当は抱きしめたかったけど…その代わりずっと見てるから。』」
マリア「…あの子らしいわね。」
マリアの瞳から1つ、また1つ涙が零れた。
ノア「きっと今は開放されたわけだし、好きにうろついてるんじゃないかな。僕は死には詳しくないけれど…。」
アリィ「ねぇ、魔法って人に教えてもらえばそれも使えるようになるものなの?」
ノア「ううん。ボクが特別としか言えないかな。魔法はイメージの世界で、それのイメージが出来なければ結局ダメだし。」
ジーク「ということはアリィと同じか…。」
ノア「うん。」
(正確には違うけれど…)
アリィ「なーんだ…ヒトが魔法を使えてるんだと思ったのに。」
ノア「にしてもこの紅茶美味しいね。」
カイオス「貰い物なんだ。気に入ったようでよかった。」
ノア「まぁそういう訳で寒くなったら、魔法を使わせて貰ってたんだよ。…アンドロイドのアカネ君のことについてはほとんど把握してるつもりだよ。」
アリィ「えっ?一体あの時どこに…」
ノア「あの時からずっと森だよー。」
ジーク「あれだけ騒ぎがでかかったとしても、森にいたら視界は遮られてるし、音も聞こえにくいだろ?」
ノア「まあね。でもボクは分かってる。何故なら、本来使えないはずのアカネ君の魔法は、ボクが使えるようにしたんだ。」
カイオス以外の全員はえぇっと驚き声を上げる。
ノア「この際言ってしまおうかと思うんだけど。」
ノアはそう言ってカイオスに目配せをする。
カイオス「ああ、ここの連中なら大丈夫だろう。ベツに関しては、あのことは伝えてある。」
ノア「それじゃあ改めて…ボクは君達が悪魔と呼ぶ存在だ。悪魔としてははじめましてかな?」
そう言ってノアはニコリと笑う。
アリィ「悪魔っていうのは…」
ノア「アリィやアカネ君とはまた違う。災害級の危険生物に指定されている悪魔。それがボク、ノアだ。」
ノアがそう言い終える前に、ジークが席を立ちアリィを庇うようにしてナイフをノアに構える。
アリィ「じ、ジーク…流石に急すぎ…」
ジーク「…イドゥン教の差し金か?」
震えた手でジークはノアにそう聞く。
ノア「いいや。違うよ、ここに居る人達の内少なくとも2人は死ぬほどイドゥン教を憎んでいる。殺しはしても庇うことはしない。これが証明になったりしないかな?」
ノアがジークにそう問いかける。ノアを庇うように、マリアとベツレヘムは立っている。
ジーク「…悪かった。」
ノア「気にしないで。もっと酷い反応されると思ったし…イドゥン教がきっと君達にろくでもないことしたんだね…。」
(”テオス”を失ってもまだ…あいつらは…)
カイオス「さっさと本題に戻ろう。」
カイオスが気まずい空気を消すようにそう提案する。
ノア「そうだね。これに関しては言える時間が無さそうだし…とにかくボクは記憶の魔法が専門だ。その上で”再現”という魔法がある。アンドロイドのアカネ君に使ったのはその魔法。普通はボクが使うなら簡単に使えるんだけど…第三者になって当事者に使わせてあげられるようには複雑でね。元のアカネ君と資質が似ている必要がある。」
アリィ「それで似てたから出来た…ってこと?」
ノア「うんそうだよ。飲み込みが早いね。だからアンドロイドのアカネ君に一時的にでも関与したことで、ボクにはアンドロイドのアカネ君の記憶がある。ボクならその記憶メモリで、彼を蘇生することが出来る。最新の記憶までね、だからどのタイミンで宿っていたとしても完璧に出来る。」
マリア「…その話は一切してないはず…」
ノア「事が事だからね。君達の記憶を覗かせてもらったよ。でもアカネ君にことに関してだけ。プライバシー配慮には気をつけてるよ。最も彼は違うけれど…」
ノアはそう言い、カイオスの方に瞳を向ける。
ノア「ボクに預けてもらえるかな?ごめん、あまり待ってはいられないんだ。早めに返事が欲しい。」
ノアがそう言った直後、花瓶に入っていた花が枯れる。
マリア「…分かった。アカネのことをお願い。」
ノア「ありがとう。」
ベツレヘム「マリアがそう決めたのなら私達は何も言わないよ。」
アリィ「うん。」
カイオス「んじゃ、俺は花を差し替えてくる。」
ベツレヘム「カイオスって花の趣味なんてあったんだね。意外。花瓶もまめに手入れしてるし…」
カイオス「俺の家だからなここは。花は研究の一貫というか…」
各自それぞれ好きなことをし始め、流れ解散の中、ジークはノアの横をすれ違う。そしてその際唇の動きのみで囁く。ノアにはそれが何か理解出来た。”記憶”を通して。
ジーク「お前、ポルポルだな?」
確かにそうノアにしか伝わらない方法で、囁いた。