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グリルタ
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晶子にとっての4月は息つく暇もなくあわただしく過ぎた。入学式、オリエンテーション、クラス分け発表、部活動の選択、その他もろもろの事柄を片づけるだけで精一杯だった。
4月の下旬には早速実力テストもあった。小学校では学年でも上位の成績をキープしてきた晶子だったが、廊下に張り出された得点順位を見てため息をつかされた。
学年の生徒全員の得点と順位が張り出され、晶子の位置は真ん中からちょっと下だった。東京中の小学校から選りすぐりの優秀な生徒が集まっている中学校とは知っていたが、改めてこの先の厳しさを思い知らされた気分だった。
母親に頼まれてスーパーへ買い物に行った時、店の中にカンナを見つけた時は、何かほっとする感じがした。晶子は両手で店の買い物かごを提げて、カンナの側へ駆け寄った。
カンナは両手に買い物かごを提げてかなりの量の食料品を運んでいた。手に持ったメモを見ながら何かを探していた。
「カンナ、お使いなの?」
そう問いかけた晶子の方を振り返り、カンナは相変わらず男の子のような豪快な笑顔を見せた。
「お、晶子もか」
地味目のワンピースの晶子の前に、セーターにデニム生地の膝上ちょっとの長さのスカートを着たカンナがいる。
「あれ、カンナ、私服でもスカートなんだ」
「ああ、慣れないとな。けど、あたいがスカートで動くとすぐにパンツが見えちゃうんだよな」
「ええ? 気をつけなきゃ。小学校の時の男子ってスカートまくりやってたから。あたしも何回もやられた」
「なあに、見たいなら見せてやるさ。そうだ、1回百円でやってみるか?」
「だめだよ、女の子がそんな事しちゃ」
「別にいいじゃん。見られて減るもんじゃねえし」
「そういう問題じゃないよ。でもすごい量だね、買い物。まとめ買い?」
「ああ、これはうちのじゃないんだ。ほら、うちの団地、年寄りが多いだろ。買い物行くのが大変ていう、近所のじいちゃん、ばあちゃんたちの買い物をあたしが代わってやってんだ」
「わあ、偉いね」
「いや金はもらうけどな、当然」
「え? いくら?」
「1回50円。まあ、量にもよるけど」
「それって働いてるって事? 中1なのに」
「働けるなら働きたいけどな。中学生になると小遣いかかるし。けど、中学卒業するまでは雇ってもらえないんだって。法律でそう決まってるらしいんだ。そんでお駄賃稼ぎならいいだろってわけ」
それぞれの買い物袋を抱えて家の方向へ並んで歩く。晶子は片手に袋を一つぶら下げているだけだったが、カンナは自分の顔が隠れるほど大きな袋を二つ胸に抱えていた。
それぞれの中学生活の始まりの様子を話し合う。カンナは窮屈な学校生活だと言った。小学生の頃と違って校内の規律はいろいろ厳しくなる。お転婆という言葉を絵に描いたような性格のカンナにはそれがご不満らしい。
晶子が実力テストの順位で落ち込んでいると話すと、カンナは心底驚いたようだった。
「あの優等生の晶子が、かよ? 世間は広いって本当なんだな」
「カンナの学校は実力テストあった?」
「いや、普通の公立だから。そんなに早くにテストしたって意味ねえよ。私立は大変なんだな」
「うん、合格して一安心って思ってたら、これだもんね。自信なくなってきた」
やがてあの踏切の所にたどり着いた。小学校時代に通っていた道の反対方向から歩いて来た事に晶子は気づいた。この場所で別れる事は変わっていない。
二人はお互いに手を振り合い、踏切のあちら側とこちら側に歩いて行った。
コメント
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おお、第12話読み終えたわ!晶子が中学入って早速苦戦してるの、すごくリアルで共感したわ。あの廊下に張り出される順位表の描写、まさに「私立あるある」って感じでヒリヒリした。一方カンナは相変わらず豪快で、パンツ見せてやるとか言っちゃうの笑ったわ。でも近所の年寄りの買い物代行してるトコ、ああ見えてちゃんと優しいんだなって。踏切で別れる風景も、最初の頃と変わらなくてちょっと切なかった。「強さの理由」がちゃんと設計されてる作品って感じで、この調子で読み続けたいわ!