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人は神の創造物である。 それであると同時に神の奴隷でもあった。
神は人々に才能を運命という形で与え、それを奪ったり、急に無くしたり、正しく運命を弄ばれていた。
だが、その結果、人々は運命を自らの才能を最大限まで認知することが出来るようになり、それらを用いて様々な文化を発展させて来た。
そして、現在。
神殺しがなされた結果、彼らはその運命を自らの才能を極限まで伸ばすことで様々な特異なる能力を手に入れることが可能となった。
ジータの運命は狩人。
彼女は開示により、運命を共鳴させると彼女の腕に握られていた木剣は、その刃に風を纏っていた。
小規模の嵐を刃に纏い、構えるとジータはここまででは無い様な真剣な口調で口を開く。
「行きます」
戦士としてのスイッチが入ったバサラは言葉に応えることなく、鋭い目つきで彼女がどう動くかだけを見ていた。
運命の解放、風の力を纏い、速度を上げ、道場の木の板を踏み込むと同時に抉り取る。
助走をつけ、風を纏う狩人は彼女が今持つ装備で放てる最高の一撃を見せつけるもバサラは弾くことも、避けることもなく、冷静に自身の持つ剣先をぶつけた。
互いの刃が混じり合った瞬間、剣はバサラの放った一撃により、両方とも爆ぜると木の柄だけが握られている。
(やっぱり! 武器の破壊! 私の木剣が私の運命によって壊れかけてたのをちゃんと見てる! 私の勘は間違ってなかった! それに漸く、漸く、御師様が私たちを鍛えてくださった御師様が日の目を浴びる! 見てなさい、剣聖、あなたを超えるのは私の、いや、私たちの御師様だから!)
内心ガッツポーズ、喜びが顔に出そうになるのをなんとか抑え、優しい笑顔を浮かべ、口を開いた。
「お見事です」
ジータは笑っているものの、バサラは内心ヒヤヒヤしていた。
(よ、よかったー。なんとか、ジータを傷つけずに済んだ~。一瞬、スイッチ入っちゃったけどギリギリのところで思いとどまれて良かった~)
武器破壊だけでなんとかその場を切り抜けたことにため息をついているとジータがニコニコとしながら近づいて来た。
「御師様、では、」
「ごめん! ジータ! やっぱり、僕、もう歳だし、流石に神殺しには昔の武具とかがあればなんとか成るかもしれないけど。もっぱら全部売っちゃったしで、難しそうだから」
「あ、それ全部私が買い戻しておきました。鍛治士ヴォルカの打ったものであれば意外と早く見つかったのと新しい武具も用意いたしましたので! ユース、ラビ、準備して。御師様の持って行くものを纏めて上げて! あ、御師様は先に私と参りましょう! 私の家に案内します!」
断ろうとしたのにグイグイくるジータにより、腕を引っ張られるとバサラは抵抗虚しく引きずられていく。そんな姿を双子は眺めながら、ユースは苛立ちを露わにした。
「ちょっと、ジータ様に認められているからって調子に乗りやがって」
「やめとけ、ユース。ありゃ、本物、完全に人を辞めた存在だ」
「ラビ、お前もか!? あんなやつジータ様が共鳴器を使えば一瞬で終わってたはずだ!」
「バカ言え、それならあのおっさんにも共鳴器を持たせるべきだろ? 俺だって腹は立つがあの人の実力、一瞬で武器が破壊できるってのを見抜いた上でのあの動き。無駄の一切を省き切っていた。お前、出来るか?剣先に剣先をぶつけて破壊するなんてこと。あんなん、真似できるのは剣聖ジークフリートか、ジータ様と同じ地位の四護聖だけだ」
「チッ! もういい! お前までそう言うなら見てろ! 俺があのおっさんと勝負をつけてやるからよ!」
ユースはそう言うとラビを残しで道場から出て行くと一人残された彼は壊れた戸の修理を始めた。