「 君の明日の光になりたい。 」
#2
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sha 視点
zmはまた、家で辛い思いをしていないだろうか。
“両親の仲が悪い”
という事を、zmの口から聞いただけだ。
実際に自分の目で見てはないけど、
zmのことが心配だった。
大丈夫かな。
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zm 視点
玄関の扉を引いて、家の中へ入った。
靴を見ると、親父はまだ帰っていないようだった。
ただそれだけで、安堵してしまった自分がいる。
zm
「 ただいま 」
2階の部屋に荷物を置いて、部屋着に着替えてから、
リビングの母の元へ行き、帰ったことを伝えた。
昨日見た時よりも、やつれている気がした。
「 おかえり、zm 」
「 まだご飯やないから、部屋でゆっくりしときーな 」
母の言葉に頷くだけの返事をし、自分の部屋へ戻った。
ヘッドホンを耳に着けて、動画を再生した。
何の変哲もない動画。
くだらなくて、しょうもない。
コメント欄には、よく見る荒らしもいた。
十数分経った頃、小さく玄関の扉が開く音がした。
親父が帰ってきたのだろう。
一気に気持ちが沈んだ。
どうせ何分か経ったら、怒鳴り声が聞こえるのだろう。
自分が巻き込まれるのも、怒鳴り声を聞くのも嫌なため、
ヘッドホンを着けたまま、スマホを持って、
家を出た。
夏が近づいているのか、外はまだ明るかった。
……shaと話した、公園にでも行こう。
少しはマシなはず。
─────
通学路の途中の公園に到着した。
shaと話をしている時はまだ、ぽつぽつ親子が居たが、
今はもう、公園には人影が少なかった。
せいぜい居るとしても、犬の散歩に来ている人が数人だ。
俺は、先程のブランコに座って、俯いて音楽を聴いた。
帰りたくねぇなぁ……。
音楽を聴きながら、そんなことを考えていた。
……
何時に帰ろうか。
最悪帰らなくても、そこらの宿に泊まるか。
適当にそんなことを考えていた。
スマホの画面を見ている時、ふと目の前が少し暗くなった。
驚いて前を見ると、shaが制服ではない姿でスマホを覗き込んでいた。
驚きすぎて声すらも出なかった。
体を跳ねさせて、咄嗟にスマホを隠した。
sha
「 あ、すまん、勝手に覗いてもうた… 」
zm
「 ぁあいや、全然……ええねんけど… 」
「 なんでこんな所おるん? 」
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sha 視点
部活が休みだったため、家に帰った後、
軽く外を走っていた。
いつものコースだが、今日は少し長めに走った。
家でダラダラする気分ではなかったからだ。
公園の隣をいつも通り走り過ぎようと思った時、
ある人影が目に止まった、そのまま走り続けたが、
徐々にスピードを落とし、その人影へ寄って行った。
癖、というか、ナチュラルに、
スマホを覗き込んでしまった。
そしたら、その人……zmは肩を跳ねさせてめちゃくちゃビビってた。
sha
「 あ、すまん、勝手に覗いてもうた… 」
ビビらせたことにではなく、勝手にスマホを覗いてしまったことに、
反射的に謝罪をした。
zm
「 ぁあいや、全然……ええねんけど… 」
「 なんでこんな所おるん? 」
zmは驚いた表情から、何かを疑問に思う表情に変わった。
sha
「 あ〜、走っててん! 」
「 いやほら、俺野球やってるやん? 」
zm
「 ぁあ、確かに… 」
sha
「 やから走っとったんよ、自主練で!笑 」
zm
「 暑くないん?長袖で走るの 」
そうzmに問われた。
ここから家は近い方だし、袖を巻くればなんとかなる。
だから俺は、
sha
「 まだ走り始めやし…そんな暑くはないで 」
と、zmに答えた。
そしたらzmは聞いた割には興味がなさそうに返事をした。
zm
「 ほぇ〜… 」
sha
「 逆にzmはなんでここおったん? 」
俺はzmからの質問に答え、次はこっちから、
zmに疑問をぶつけた。
大方、予想は何となくついていた。
もし違ったら申し訳ない、と思ってzm本人に聞いた。
zm
「 親父と母さんの喧嘩始まりそうやってん 」
「 怒鳴り声聞きたないから、逃げてきた 」
…やはり、予想は当たっていた。
何年も喧嘩しているとはいえ、怒鳴り声は聞きたくないよな、
と思い、俺はzmにある提案をした。
sha
「 じゃあ、俺ん家来る? 」
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zm 視点
sha
「 じゃあ、俺ん家来る? 」
shaは右手の親指で、自分の家の方向を指しながら
俺にそう、提案した。
正直、母さんが晩御飯の準備をしているだろうし、
今から行くと言っても、”ダメ”とでも言われると思った。
だから、少し濁して返事をした。
zm
「 とりま母さんに聞いてみる 」
sha
「 ん! 了解! 」
shaは満面の笑みでグッとポーズした。
夕陽に照らされるshaの笑顔は、やっぱり眩しく見えた。
ブランコに座るshaを横目に、
俺は母さんにメールをした。
既読が着くのには数分かかって、
返信にはだいぶ時間がかかったが、
OKをしてくれた。
メッセージを送っている時、shaが
「 俺ん家に泊まるのもいいか聞いてみてや 」
と言われたため、それも含め、母さんに聞いた。
OKの返事の後に、”迷惑かけへんようにな”
とも言われた。
その言葉に俺は、分かってる。と少し素っ気なく返信した。
shaに許可を得たことを伝えると、
目を輝かせながら俺の手を引いて、
走ってshaの家と思われる方向に向かった。
shaの家に向かうのは初めてだから、
緊張と楽しみで胸がいっぱいだった。
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𝕟𝕖𝕩𝕥➯➱➩ ♡500
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コメント
9件
続き気になります….ᐟ.ᐟ zm母優しいなぁ、 人間関係とか、家族関係のことを深く考えさせられますね
shaちゃんもzmさんの母さんもええ人やんなぁ、ほんでzmさんとshaちゃんは互いに信じ合ってるって言うか、 続き楽しみに待ってます!
うわぁ…続きすごい気になります! zmさんとshaさんの関係性がいいですね…! お互いのこと考えてる感じがして… 最高です!楽しみにしてます!