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食事が終盤に差し掛かった頃、少しだけ深い話になった。
「……白河さん、あなたはさっき、鎧を着ていないと壊れると言いましたね」
「あ……はい」
「もしよければ、聞かせてもらえませんか。何が、あなたにそんな厚い鎧を着せてしまったのか」
彼の声は低くて、どこまでも優しかった。
本当なら、誰にも言いたくない、心の奥底に沈めていた泥のような記憶。
でも、今なら言える気がした。
この人なら、笑わずに受け止めてくれる。
私は、高校時代に経験した出来事を、ぽつりぽつりと話し始めた。
信じていた人に裏切られたこと。
自分が妹への「踏み台」に過ぎなかったこと。
それ以来、自分に自信が持てず、人を信じるのが怖くなったこと。
話し終える頃には、指先が微かに震えていた。
やっぱり、言わなければよかっただろうか。
重い女だと、引かれてしまっただろうか。
不安になって顔を上げると、御子柴さんは、ひどく痛ましいものを見るような目で、私を見ていた。