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パーティーでの一件以来、シャーリーさんはなぜか私に「プレゼント」を頻繁に贈ってくれるようになりました。
今日も学園のテラスでゼノ君と配信の準備をしていたら、彼女が可愛い瓶を持って現れたのです。
「リリアーナ様。これ、隣国で流行っている『美肌の香油』ですの。ぜひ今、ここで使ってみてくださいな。とっても良い香りなんですわよ?」
シャーリーさんは、慈愛に満ちた笑顔で言いました。
でも、ゼノ君が鼻をピクッと動かして、冷たい声を上げました。
「……リリアーナ様。その油、肌に塗ると強烈な異臭を放ち、数日間は凶暴な魔物が寄ってくる『魔寄せの油』です。……聖女様、ずいぶんと物騒なものを持ち歩いていますね」
「あら、魔寄せ? 魔物とお友達になれる油なんですの? 素敵ですわね」
私がポカンと聞き返すと、シャーリーさんの頬がピクリと引きつりました。
「な、何を言っているの? 素晴らしい香りを楽しむためのものですわ。さあ、早く塗ってちょうだい!」
彼女は私の腕を掴んで、無理やり油を塗ろうとしました。
その時、ゼノ君がスッと鏡をシャーリーさんの顔の前に差し出しました。
「リリアーナ様、せっかくの贈り物です。フォロワー様にも見えるように、シャーリー様の手で『実演』していただくのはどうでしょう。……さあ、聖女様? 自分で塗れないようなものを、お嬢様に贈ったわけじゃありませんよね?」
「えっ? わ、私が……!?」
ゼノ君の殺気と、鏡に映る自分の顔。今ここで拒否すれば、怪しいものを贈ったと自ら認めることになります。
シャーリーさんは震える手で、自分の手の甲に油を一滴垂らしました。……すると。
バサササササッ!!!
テラスの植え込みから、学園で飼われている巨大な「魔力カラス」たちが、ギャアギャアと叫びながらシャーリーさんに殺到しました!
「ひゃああああっ!? なにこれ、離して! 来ないでえええ!」
「まあ! シャーリーさん、鳥さんたちに大人気ですわ。聖女様は、動物にも愛されるんですのね。なんて躍動感のある動きかしら」
私は、カラスに揉みくちゃにされて逃げ惑うシャーリーさんを、感心して見つめていました。
ゼノ君は一歩も動かず、カラスに突かれて髪がボサボサになり、ドレスを引き裂かれる彼女の姿を、完璧な「追いかけショット」で撮影し続けています。
『www聖女様、鳥葬かな?』
『リリアーナ様の「大人気ですわ」が一番の煽りw』
カラスを引き連れて、全力疾走で廊下の彼方へ消えていくシャーリーさん。
私は今日飛んできたスパチャで、彼女に新しいヘアブラシを贈ってあげよう、と心から思うのでした。