テラーノベル
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吾輩はお化である。
化猫にでも、化犬にでもなれる最強お化だ
だが、唯一なれないものがある
それは人間だ。
人間の造形は出来るのだが、寿命が長すぎる
お化の平均寿命は40年から70年程なのだ。
500年!?そんなに長く生きた生物なぞ人間以外おる訳がなかろう!
それでも見た?…それは世襲の一族に出くわしたのだろう。顔も同じ、性格も同じような者ばかりの一族だ。吾輩はちがう!
今日は時計に成りすまし、人間に嘘の時間を教えてやるぞ!何故そんな事をするか?
人間達に取り込まないと、吾輩達は興味を持って貰えないからな
興味を持ってもらわないと死ぬ?!オマエらは一体全体何を考えているのか!
そんなにお化はすぴりちゅあるではない。これは万国共通だ。
ただ、少しだけ興味を持って、吾輩を学んで欲しい。
吾輩が、何処にいるか、誰かに見つけて欲しい
少なくとも吾輩はそう思ってる。
楽しみがないと、お化は退屈で退屈で死んでしまいそうだ。
お化は元々何だったか?!オマエら前世が分かるのか?
お化はお化だ。生まれた時からな!
お化に死生観を求めるな!オマエらより化学や頭がいい訳でもないからな
飛んでいけるの?!人間が飛べないものを蝶のやうに飛べるわけなかろう!
済まない、言葉遣いが少し古風やも知れんな
吾輩は、もう69なのだ。
もうすぐ無くなる、だがお化は老いることも、死ぬこともなく、ただ眠る。
いつか、起きると信じられておるのだ。馬鹿馬鹿しいだろう?
だが、余りに怖くなく、寧ろ楽しささへある
吾輩はこれからどうなるのか。お主が考えてみよ!人間よ!
起きた時には冬眠のように、腹。へっとろうから吾輩へのお菓子も置いといてくれよ。
なんか、分かりずらい話だね
なんだオマエ!人間か。人間は寿命が長くていいな。
うん。化学が進歩してるもん
オマエ、それに頼ってばかりでは死んでしまうぞ
化け姐、死んじゃう?
いや、死ぬことは無いが、お前はもう会う事は無いだろう。
じゃあ、僕が化け姐のこと、科学で助けてあげるよ
だから、眠たくなったら、僕を呼んでね
その言葉を思い出した時、急ぎ家へ戻った。
まだ、桜は咲いていた。
…古い、吾輩も幼く、意地を張って500歳と嘘ついたあの春。こうゆう時は夏ではないかと?こうゆう時なんか、来なくて良いのだ
こんな時なぞ…
春の、あの山には春嵐が渦巻いていた。あの花は今も咲いとるが、吾輩は、吾輩はあの時が好きだった。
嗚呼、踊れよ踊れ。桜よ舞へ。
涼。そろそろ眠くなってきた。どぉなつ、置いてゆ、け。
神よ…吾輩を、救い給え。もう、生まれ変わりなど、あの痛みを思い出しとうない
涼。おやすみ、もう二度と起きとうないほど、瞼は重く、目を瞑る。
姐さん。おはよう。絶対絶対、また500歳一緒にいようね。
嗚呼、吾輩を、早よう、見つけ…給へ…神よ
また次回。
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解説! 主人公の涼は人間の化学の発達により515歳。化学が発達してお化も見える人が増えて来た中に生きていた。化姐さんは、涼に15歳の時に一目惚れさせてしまう…そのせいで、死ぬ直前に化姐さんはどうしても怖くなって涼を呼んでしまう。そのせいで生まれ変わりを強制的にさせる。(記憶維持)装置に入れられ、また50年余り、生き続けるのは生き地獄そのもの。誰か見つけて状態