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僕の足元には今、壊れた硝子がある。
夏の陽射しに反射して、目が傷ついて。
酷く痛む。
拾おうと手を伸ばす。
中の液体がベタベタと手に纏わりついた。
水色にも見えて翠色にも見えるこの瓶、硝子。
ふと足の裏に何かがめり込んだ。
玉だ。
硝子の玉。
足つぼマッサージだと言えば『そうかもしれない』と思ってしまいそうな玉。
これは痛くない。
そんなことを考えながら持ち上げる。
泡沫を見に纏わせて天に葬ると一瞬輝いた後、地に落ちてコロコロ転がる。
昔はこれでよく遊んだもんだ。
それをまたもや拾って今度は投げずにお天道様に見せてみる。
景色を少し拡大して。
景色を少し歪ませて。
だけど綺麗だと思ってしまって。
「そういえば」そう呟くも、他に誰も居ない。
手に持っていた相方の硝子。
半ばほど残った液体を飲み干すも、暴れる泡沫は既に消えていた。
あぁ、つまらない。
君が居ないと何も始まらない。
始められない。
いつの間にか消えていた君の姿。
彼?いや彼女?よく分からないが、今はどうでもいいことだ。
拾う硝子。
よく人は無色は白だって言うけれど。
白には『白』という色があるじゃないか。
つまりは白は無色じゃない。
────無色は透明なんだ
そう言うかもしれない。
けど透明は無色じゃない。
あいつは条件下で色を持つ。
天に見せれば天の色を。
地を見つけたなら地の色を。
君を見たならば君の景色を。
窓とは違う『透明』そのものは、色を景色を全てを映すもの。
だから透明は無色じゃない。
だからこの世に無色は存在しない。
いや、違う。
無色は君だ。
信じたくないだけで、気づいてないと自分を騙していただけで、本当は、本当の無色とは、
────君だったんだ。