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・.。. .。.
二人で初めての朝を迎えた時、ポツリとシオンが「帰りたくないな・・・」と言った、桜子は「帰らないで欲しい」と言った、またその翌日、今度はシオンが口を開く前に「もう一晩泊って欲しい」と桜子が言った
そしてなんとそこからシオンは一週間桜子の家に泊った、だって彼の故郷には残してきた家族も仕事も、もうないのだから、桜子はいつまでもシオンに自分の家にいて欲しかった
そして彼が遠慮がちに「今月末に一度家賃を払いに帰省する以外に故郷には特に用事がない」と言った、桜子は「あなたが居たいだけここに居て欲しい」と言った
。 .:・.。. .。.
月明りに照らされて桜子のベッドで仰向けになって眠るシオンを彼女はじっと見つめていた・・・
この年になって目覚めた時に誰かが横に寝ているのを体験したのは初めてだった、シオンの温もりが伝わって来る・・・あまりの心地よさに桜子はもっとシオンに身を摺り寄せた
シオンが寝言を言って、腕をだらりと桜子の体に回した、首筋に息がかかる・・・彼はよく眠っている、髪が伸びているので散髪に連れていかないといけないなと思った
そっとシオンの腕を外し、傍にあるシルクのガウンを羽織ってベッドから出た
書斎のPCは常に電源がついていてスリープ状態にある
それは桜子がこの家の中で、入浴している時、はたまた洗濯物を干している時、それは大抵体を動かしている時に訪れる脳内の設定やイメージが突然言語化した時に、いつでもキーボードを打てるようにしているからだ
薄暗い部屋で今は桜子は一つのサイトを開いて見ていた、シオンがやってくる前に発覚した「匿名掲示板5ちゃんねる」でのスレッドの一つを見ていた
【美木桜子の盗作について語り合うスレ part1】
初めてこのスレッドを見て凍り付いたのは一生忘れられないだろう、何時間も画面の前を右往左往してやっとスレッドに書かれている内容を確認した
そこにはたった一言
―美木桜子は盗作している―
一瞬、息が止まった、しかしすぐに彼女は持ち直した、よくあることじゃないか、この文面だけだと、自分が何をどう盗作したと訴えたいのか分からない
これを書き込んだ匿名者は、やっかみ屋の同業者か、失望した読者や、はたまた某アニメスタジオの事件でもあったとおり、自分の頭の中のプロットを盗まれたという狂人だろうと思った、たいした書き込みではない
だがそう思いながらも全身が冷たくなり、鼓動が速くなった
それから彼女はこのスレッドを見てからというものの、一日たりともそれを考えない日はなかった
このスレッドのURLからRSSを生成して、通知対応のRSSリーダーに登録していた、これで新着書き込みがあると桜子に通知が来るようになる、桜子は通知が来ないのに毎日スレッドを確認した、
誰かが書いた新しい書き込みが無いか、毎日毎日、相変わらず通知が来ないのに確認せずにはいられなかった、まるで手洗い行為をやめられない強迫神経症患者のように、夜な夜な匿名掲示板を見る
コメント
2件
桜子にとって脅威だよね…かなり心臓に悪い🥺
第59話、読みました!シオンとの朝の温かい時間から一転、あの盗作スレッドの話が出てきてゾッとしましたね……。シオンの寝顔を見ながら「散髪に連れて行かないと」なんて日常を思う桜子の優しさと、夜中に強迫的に掲示板を確認してしまう不安とが同居してて、その対比が生々しかったです。あの「手洗い行為をやめられない」という比喩が特に心に刺さりました。続きがすごく気になります!