🖤💙の世界線
あの日の夜、やっぱり寝付けるわけはなくて、瞼を閉じたまま、うつらうつらと夢と現実の狭間を行き来して何度目かで朝を迎えた
しょっぴーは俺の腕の中で、何の警戒心もなく、すぅすぅと寝息を立てて、抱き寄せて腰に手を回したりしても、変わらず気持ちよさそうに寝ていた
寝付けない疲労感はあるものの、腕の中の温もりが愛おしくて、長いようで短い一晩だった
そろそろ起きた方がいい時間になって、しょっぴーの頬を撫でる
「しょっぴー、起きて?」
「ん、んん」
温もりが気持ちいいのか、頬を手にすり寄せて、腕の中に収まってくる可愛らしい寝顔をいつまでも見ていたいけど、時間を考えるとそうもいかない
「しょっぴー、そろそろ起きないと」
「んー?んぅ、めめ?」
「おはよう」
目をこすりながら見上げられる
ぱちぱちと瞬きをして、ようやく状況を理解したのか、一気に頬が真っ赤になった
「わ!めめ?!え?!……俺、いつの間に寝てた?てか、え!近っ!」
パッと起き上がって距離を取られる
「えっと!あの、色々ありがと!世話かけてごめん!俺、帰るな!」
「帰るの?朝ごはんは?」
「や!あの!今日はいいや!ありがと!ごめん!」
そう慌ただしく言いながら、真っ赤な顔をしたまま、あっという間に帰ってしまった
ずいぶんと恥ずかしがってたけど、泊まっていったことなんて何度もあるのに、今さら?と思う
(まぁでも、流石に抱きしめたまんま寝たのは初めてか)
それだけで、あんなにも慌てふためくのか
そう思うとちょっと期待したい自分が顔を出す
朝ごはんも一緒に食べたかったから、残念に思いつつも支度をしていれば、しょっぴーからメッセージが入る
【バタバタ帰ってごめん。びっくりしちゃって。昨日もご飯ありがとう、おいしかった。またゆっくり話そう】
【どういたしまして。また泊まりにおいでね】
次に仕事で会った時は、なんだか普段よりもぎこちない感じで謝られた
「めめ、あの、この前ごめん。その、寝起きで、びっくりして頭回んなくて」
「大丈夫だよ。そんなにびっくりした?笑」
「だって!……いや、あの、ご飯ありがとな。いつも通り美味しかったし、たくさん話せて楽しかった」
「俺もしょっぴーと話すの楽しいから、またおいでね」
「うん」
ちょうどラウールもやってきて、いつも通りに3人で話していれば、しょっぴーの態度も普段通りに戻っていった
【今日、泊まりに行ってもいい?】
ある日の昼過ぎ、珍しくしょっぴーの方からそんなメッセージが入った
家に行ってもいいかと聞かれることはあるけど、泊まっていいよと声をかけるのはいつも俺の方からだ
そんなちょっとした変化に気づく自分も自分だけど
明日もゆっくりだし、今日の終わりもそんなに遅くないはず
【大丈夫だよ。仕事が終わったら連絡するね】
大したものは作れないけど、冷蔵庫に食材はまだあったはずだ
何かあったのかという心配と、ちょっと進展したのかという期待とを抱えながら、次の仕事に向かう
コメント
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ほんとに、いつまでも読んでいたいような、甘いお話ばっかり🥹