仕事が終わって連絡を入れて、家に帰ってきた
ご飯があと数分で完成するというタイミングで、インターホンが鳴る
「いらっしゃい、しょっぴー」
「ん、お邪魔します。仕事おつかれ」
「しょっぴーも。ご飯すぐできるから」
「いつも、ありがと。ごめんな、急に」
「全然。座ってて」
「うん」
いつも通りを装いながらも、いつもよりもちょっと期待感が上乗せされて、ソワソワとしてしまう
心なしかしょっぴーも、いつもよりも視線がチラチラと落ち着かない気がするのは、俺の欲目なのか
ご飯ができて、食卓を囲む
「簡単なものだけだけど」
「ん、うま」
「そう?よかった」
「ほんと尊敬するわ」
「ありがとう。今日どうしたの?何かあった?」
「んーん、そういうんじゃなくて」
「そ、よかった。でも珍しいね」
「…………ん〜、なんか、、めめに会いたくなって」
期待感が急上昇するのを、掌をギュッと握って落ち着かせる
「……ふぅん、可愛いこと言うんだね」
「………ごめん、なんか変なこと言って」
ほんのり耳の端を赤くして目を逸らす様子に、今さっき落ち着かせたばかりの期待感がまた上がる
「いや?嬉しいよ。じゃあ存分に堪能して帰って?」
「ふはは、なんだそれ笑」
ここで踏み込む勇気は出ずに、わざとらしくアイドルスマイルを作って小首を傾げ、冗談めかして返せば、ふっとしょっぴーの空気が緩む
期待混じりのモヤモヤを抱えつつも、いつも通りに仕事の話やメンバーの話で花を咲かせる
「「ごちそうさまでした」」
「洗い物しとくよ」
この前と同じようにしょっぴーが申し出てくれたけど、 メッセージをもらった時から、なんとなくいつもと違う感じがするしょっぴーの傍を離れたくなくて、一緒に洗い物をすることにした
「お礼なんだから、おれ1人でいいのに」
言いながら、早速洗い物に手をつけていくしょっぴーだが、服の袖が濡れそうだ
「しょっぴー、袖まくらないと」
「大丈夫だよ」
「だーめ。ほら、じっとして?」
「……ん」
袖をまくる間、2人で手元を見つめる
いつもは気まずくない沈黙が、なんとなく今日は居心地が悪い
しょっぴーを見下ろせば、首の後ろを赤くしながら、少し体を硬くしている
(ん〜、ちょっと仕掛けてみるか?)
袖をまくり終わって、ぽんと肩に両手を置いて声をかけた後、後ろから軽くハグをしてみる
「はい、できた」
「ありがと………わ!なに?急に」
両手が濡れてるしょっぴーは動けない
「しょっぴーさ、今日なんかぎこちなくない?やっぱりなんかあった?」
「何もないって…!」
「ほんとに?」
ぎゅっと抱きしめる腕に力を入れると、渋々といった感じで口を開く
「………まぁ強いて言うなら、ちょっと確認したいことはあるけど」
「え?なに?」
「………あとで言うから。先に洗い物終わらせよ」
「そう?ちゃんと聞かせてね」
「ん」
腕を離すと、ほっと息を吐く音が聞こえた
洗い物も2人でやれば、あっという間に終わる
手を拭き終わったしょっぴーに声をかける
「コーヒー淹れるから。先ソファ行ってて」
「ん、わかった。ありがとな」
自分の分と一緒に、しょっぴーにいつも出しているマグカップを取り出す
お湯が沸くのを待ってから、ゆっくりと丁寧にコーヒーを淹れていく
「コーヒーできたよ」
「…………………」
出来上がったコーヒーを両手にソファに近づきながら声をかけるも返事がない
「しょっぴー?」
「…………………」
ソファの前側に回り込めば、コーヒーを淹れてる少しの隙で、しょっぴーは眠りに落ちていた
「こんな短時間で寝る?笑……」
ソファの前のテーブルにコーヒーを置いて、しょっぴーを振り返る
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