そしてあの日は、あのまま二人でご飯を食べて終わった。
それからも数回、おれは彼とデートを繰り返した。
デートでは水族館に行ったり…
🌟「ねぇ見て、この魚さくらみたいに小さくて可愛いよ。」
🌸「おれ小さくないし。あと、人を馬鹿にするのやめて。」
🌟「馬鹿にしてないし事実じゃん。ほら、こんなに可愛い子他にいる?」
🌸「…はぁ、。」
二人で話題の映画を見に行ってみたり、
🌟「最近人気なこの映画、本当に怖いのかな?」
🌸「…さぁ、怖いんじゃない?」
🌟「さくらってさ、怖いのいけるタイプ?」
🌸「知らない、そんなの見たことないし」
🌟「…てことは僕が初めてってこと?!」
🌸「なんで嬉しがってるの、」
🌟「そりゃ好きな人の初めてとか嬉しくない?」
🌸「…好きな人って、どういうこと?」
🌟「あ、冗談だよ、今のは忘れて?」
🌸「何それ」
街中を適当に歩いたりした。
🌟「さくら、手を繋ご?」
🌸「…なんで?付き合ってもないのに手を繋ぐのは変でしょ」
🌟「でもさくら、すぐに変な人に誘拐されそうで僕怖いもん。」
🌸「…誘拐されるわけ無いでしょ、笑」
🌟「あ!やっとさくら、笑ってくれたね!」
🌸「え、…」
🌟「笑った顔も、すげえ可愛いよ」
🌸「…っそ、」
🌟「あ、照れてるじゃん笑」
🌸「うるさい、」
彼とデートをしていくうちに、段々と友達では無い別の感情が芽生え始めていることを、おれは薄々感じていた。
だけどそれが怖くて、敵として殺せなくなる気がして、不安でいっぱいだった。
こんなことになってしまうのなら、人目を気にせず殺してしまえば良かったな、と一人反省する。
だけど今頃反省したってもう遅い。
今はいち早く、彼を殺さないといけない。
来る日も来る日も、今度こそは、と頭の中ではそう思いながらも殺せない日々が続く。
気付いたら、三ヶ月もの時が経っていた。
ボス「やあ、三ヶ月ぶりだね。任務の方はどうだい。」
🌸「……大丈夫です、期間内には必ず殺しますから。」
少し言葉に詰まった。
全く上手く行ってないなんて、嘘でも言えない。
言ったところで何かされるというわけではないが、おれのプライドがそれを許さなかった。
ボス「君ならそう言ってくれると思っていたよ。これからもその調子で頑張ってね、君には期待をしているよ。」
🌸「…はい。」
残りの三ヶ月、時間を有効に使わなければ確実に彼を殺すことは不可能だ。
どうにかしてでも彼を殺さなければ…。
おれの中で、今までに無いほどに焦っていた。
彼の弱点を少し知ったくらいで、残り三ヶ月で彼に勝てるとはとてもじゃないが思えない。
何か卑怯な手を使ってでも…。
🌸「…あの方法なら…。」
思い浮かんだ案は一つだけ。
だけど、あまりにも卑怯すぎるからできるだけこの方法はしたくなかった。
🌸「でもなぁ…。」
この際仕方ないのかもしれない。
マフィアに同情なんていらない。寧ろ捨てなければならない。
おれはマフィアらしく、次のデートへの作戦を立て始めた。
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