私
の名前は、アリサ・アーレンド。今年で17歳になりました。私は今日、15歳になった時に王都にある学園に入学する事になっています。そんな私は今日、学園に向かう為に準備をしていました。
(えっと……この服は少し派手だからこっちかな?)
私はクローゼットの中から制服を取り出すと鏡を見ながら着ていきました。私が持っている制服は他の人と違うデザインになっている為なのか、他の人が来ている物と比べると装飾が多くて派手な感じになっていたのです。それでも、私はその制服を着ると姿見の前でクルリと一回転しました。それから部屋を出て階段を下っていくとお母さんの姿が見えてきました。
「おはようございます!」
「あら……今日はいつも以上に元気ね?」
「はい!だって明日から高校生だから楽しみで仕方がないんです!!」
「ふふっ……そういえば昨日は遅くまで起きていたみたいだけどちゃんと眠れたのかしら?」
「もちろんですよ!!バッチリ眠気覚ましのコーヒーを飲みながら寝たので問題なしです!!!」
「そ、そうなの……」
そんな事を話しながら朝食を食べ終えると玄関へと向かいました。靴を履いて外に出ようとした時、不意に後ろから声を掛けられました。
「あぁそうだ。君にこれを渡しておくよ」
振り返った先に居たのは、いつの間にか部屋に入ってきていた父様でした。渡された紙袋の中に入っていた物を取り出してみると、それは一着のスーツでした。
「これ……」
「昨日のうちに作らせておいたんだ。サイズとか色々合わせてみたんだけど、多分大丈夫だと思う」
確かにサイズはピッタリでしたが、何故わざわざこんな物を用意したのか理解できませんでした。しかし、そんな事を口に出すわけにはいきません。私は素直に受け取りました。
『それじゃあ早速着替えてみて』
そう言って渡されたのは、真っ白なドレスでした。純潔を示すような、穢れを知らない綺麗な衣装です。私はこの服に見覚えがありました。
それはかつて私が着ていたものでした。あの頃の私は今とは比べ物にならないくらい可愛かったのです。今ではもう思い出すことさえできないほど遠い過去の記憶です。
私はこの服を着た時のことを今でも鮮明に憶えています。あれはまだ私が小学生だった頃……いや、中学生になってもまだ私は子供っぽさを残していましたね。
友達と遊んでいて転びそうになったとき、助けてくれた男の子がいました。そのとき初めて恋に落ちたのでしょう。私はその男の子のことが好きになりました。初恋だったのですが、結局告白することはありませんでした。恥ずかしくてできなかったんです。
それからしばらくして、私とその子は別のクラスになってしまいました。私は毎日その子の事を考えながら過ごしていました。ある日、女の子たちが恋バナをしていまして、私もその話に加わったのですが、その時に気になる名前が出てきました。なんと私の好きな子の名前が挙がっていたのです。しかも相手はその子に好意を抱いているようでした。私は自分のことのように嬉しかったです。ただ同時に絶望しました。だってそうでしょう?私が告白してもきっと断られて、それが原因で疎遠になってしまうんですもの……。だからといってこのまま何もせずに諦めたくなかった私は友達に相談することに決めました。
「あのね、実は―――」
こうして相談した結果、告白することになりました。しかし結果は残念なものでした。理由はわかりませんでしたけど振られてしまいました。とてもショックでしたがこれで踏ん切りがついた気がします。これからはこの気持ちを忘れるために新しい恋愛をするつもりでいます。さようなら初恋さん!またいつかお会いしましょう!!
「―――ということでした」
『いや待ってどういうこと!?』
「えっとですね、簡単に言うと初恋を諦めるためにこの人を好きになろうということらしいですよ?」
『なるほどわからん!』
「ちなみに僕はどうだったんでしょう?」
「貴方の場合は失恋してから少し経っていましたのでそこまで重症ではありませんでしたよ」
「あぁ良かったー」
『良くないわ!!』
「じゃあ僕たちはどうすればいいんですかねぇ」
『それは簡単よ。もういっそ付き合っちゃえばいいのよ』
「あらあらそんなことを言っていいのかしら?まだ両思いかどうかわからないじゃない」
『大丈夫よ。もし違っても既成事実を作ってしまえばこっちのものよ』
「おいコラちょっと表出ろ」
『望むところよ!』
「では今から外に出ますので、皆さんついてきてくださいねー!」
「はい!わかりました!頑張りましょう!」
「……はぁ」
「あはは、元気ですねえ」
「うん、なんかもういろいろと吹っ切れたみたいだからねえ」
「さて、それじゃ行きましょうか」
「えぇ」
「おぉ~!」
「ふむ、そういえばまだ名前を言っていませんでしたね。私の名前は──」
「では改めてよろしくお願いしますね」
「はい、こちらこそ宜しくお願いします」
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