起きたのは、やっぱりお昼前。
そして、寝起きのランチはあまり食べる気になれなくて、残してしまう。
いつも通りベッドまで運んでもらうのだけど、その間に顔だけなんとか洗って、またベッドに腰までを潜らせる。
上半身も寝かせてしまいたいのをグッと堪えて、シェナを待つ。
食事は、残したら傷んでしまいそうなものから食べて、パンや火の通ったものを後にする。
食べられそうなら食べて欲しいと言って、シェナに手伝ってもらいながら。
シェナはしっかりと朝から起きているので、おなかが減っているらしく食べてくれる。
「ごめんね。私のために用意してくれてるのに」
「本当です。少しお痩せになったのでは? 魔王さまにご相談して、控えて頂いた方がいいのでは」
確かに、頻度が高くなっていると思うし、さすがに私の体力も追い付けないレベルになっている。
夜から深夜にかけて。
それから、明け方にも。
こんな生活が十日以上続いている。
……これでは、さすがに睡眠不足感が否めない。
日中も気だるさが残っていて、そしてまた夜が来る。
慣れてきたような気もするけど……。
このままではいけないな、と思う。
それは、私の体調はもちろんだけど、魔王さまの様子がおかしいような気がするから。
抱かれていると、その変化が分かるというか。
何かに怒っているような。
もしくは、心配ごと?
「シェナは、魔王さまの様子で気になるところはある?」
「魔王さまですか?」
首を傾げながら、シェナはしばらく考え込んだ。
「……やっぱり、思い付きません。むしろ、覇気が満ちているように思いますが」
「そっかぁ。ありがと」
覇気……確かに、それに似てはいる。
でも違う。
あれは怒りだ。
焦げ付いてなおも、消えない炎が張り付き燃え続けているような、消えない怒り。
――あの時の、うなされていた姿。
あれに違いない。
あの時以降は見ていないけど、あの時以外に眠っている姿も見ていない。
「お爺さんのところに行ってくる」
そう言い残して、まだ私の残りを食べてくれているシェナを置いて部屋を出た。
ネグリジェのままではいけないと思って、黒のマントを羽織って。
「ンんぅ~!」
シェナもついて来たかったのかもしれないけど、「すぐに戻るからね」と。
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