テラーノベル
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ジムのドアを開けた瞬間、壁一面に並ぶ黒いダンベルが目に飛び込んできた。要塞のごとくそびえ立つ、巨大なトレーニングマシン。
そして、その中央。
規格外のバーベルを軽々と持ち上げている「巨体」がいた。ひよりさんの兄であり、僕にとっては魔王――いや、義兄にあたる人物である。
「……来たか」
大地さんはバーベルをガシャン、とラックに戻すと、ゆっくり起き上がった。
黒いタンクトップから溢れ出る大胸筋と上腕二頭筋。相変わらず、服の上からでも物理的な威圧感がある。
「お、お久しぶりです……」
大地さんは僕を上から下までじろりと見た。そして、眉間に深い皺を刻む。
「お前……しばらく見ねえうちに、その腹はどうした」
「え」
「なんだ、その締まりのねえ身体は」
「ゆずが生まれてから、なかなか運動できなくて……」
「で? 今日は何しに来た」
保育参観までにどうしても痩せたいことを話した。ゆずに「パパはイケメンじゃない」と全力で否定されたこと。少しでもかっこいい父親として娘の隣に立ちたいこと。
話を聞き終えると、大地さんはしばらく黙っていた。それから、口の端だけでニヤリと笑う。
「……なるほどな。娘にかっこいいと言われたい。動機としては、悪くねえな。だが、二カ月週間でその腹をどうにかするなら、甘いことは言ってられねえぞ」
嫌な予感が、背筋を駆け上がった。
「お前、覚悟はできてるんだろうな」
帰りたい。今すぐ帰って、ひよりさんのぷにぷに肯定セラピーを受けたい。けれど、ここで逃げたら、保育参観でゆずの隣に胸を張って立てない。
震える声で答えた。
「……できて、ます」
「よし」
大地さん白い歯を見せて満足げに笑った。
#異世界
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コメント
1件
ひよりさん、読了しました〜!🥀 第247話、番外編なのにめっちゃ胸熱でした…! 大地さん、めちゃくちゃ怖いけど「動機としては悪くねえな」って言ったとき、ちゃんと認めてくれてる感じがしてグッときました😭 ゆずちゃんに「イケメンじゃない」って言われたパパの奮起、応援したくなりますね…! 次の保育参観が楽しみになるお話でした🖤