私は
自分の人生から逃げるために、死を選んだのです。
私は私の人生から逃げたかっただけなのに……
私は私自身からも逃げ出したのです。
私自身の愚かさゆえに。
私が私である限り、 決して逃れられない宿命のようなものがある気がしてならないんです。
私には、私のことを愛することができない。
だから、他人を愛することができない。
私は自分自身を愛していない。
私は誰かを愛することはできない。
私には愛されることを望む資格がない。
私は自分自身を許せそうもない。
私は、私自身を憎むことでしか生きられなかった。
私は私を許してあげることができない。
だから、他人を許すことができそうもない。
私は自分が誰なのかわからないまま生きている。
私は私が何者でもないということを知っている。だから私は何かになりたがるのだ。そしてまた私が何者であるのかを知るために、私は誰かになろうとする。そうして私は私自身を知っていくのだ。私は私自身について何も知らない。それは私のせいではなく、私の周りにあるものが、私から隠してしまっているからだ。そして隠されているものは、決して見えてこない。
私は私自身のことを知らないまま生きてきた。そしてこれからもそうであるはずだと思っていた。しかし今、私の前にひとつの道が現れようとしている。今まで誰も見たことのない新しい道を。私はそこに足を踏み入れるべきか否かを迷っていた。だが結局私は、その道を選ぶことにした。なぜならそこには未知なる可能性が待っているかもしれないと思ったからである。
私は私自身のことをよく知っているわけではない。むしろほとんど知らなかったと言ってもいいだろう。だがそれでも私は、自分自身のことを少しでも知りたいと願った。
他人には見えないものが見える能力があるらしい。そしてそれ故に自分は気味悪がられ、忌み嫌われた。やがて人々は自分のことを恐れるようになり、ついには自分を監禁するようになった。
彼はずっと檻の中で暮らしていた。外に出ることを許されず、ただ部屋の中に閉じ込められる日々を送っていた。自分が何者で、どこから来たのかすらわからないまま……。
彼は孤独だった。家族も友達もいない世界で一人ぼっち。
ある日、不思議な夢を見た。夢の中の自分は、まるで別人のように輝いていた。
目覚めると、涙が出ていた。こんなにも胸が熱くなる夢を見たことがかつてあっただろうか。
「あーあ、もう朝じゃん……」
カーテンを開けると眩しい日差しが入り込んでくる。今日もいい天気になりそうだ。
窓の外を見ると、ちょうど同じタイミングで隣の部屋の窓が開くところだった。
『おはようございます』
『あっ! お、おはようござい……ます?』
挨拶をしたけど、隣から聞こえてきたのは女の子の声ではなくて男の人のものだった。
それにしてもすごい髪の色をしているなぁ。
真っ赤っかだよ。まるで燃えてるみたい。
「……ってあれ?」
一瞬だけ見えた横顔に見覚えがある気がしてよく見ると、それはやっぱり見知った人だった。「えっ……?」
思わず小さく漏らすと、相手はすぐにこちらに気づいて顔を向けてきた。
「あれ、ハルちゃんじゃん! 久しぶりー!」
「あ、あの……」
彼女は笑顔を浮かべて歩み寄ってきたけれど、わたしはその勢いに押されるように一歩後ずさってしまった。
「こんなところで会うなんて奇遇だね~」
「えっと、ごめんなさい……どちら様でしょうか?」
戸惑いながらもそう訊ねると、彼女の表情から笑みが消えた。
「えっ!? 忘れちゃったの? ほら、あたしだよ。小桜夕莉」
「こざくらゆうりさんですか……」
「うん、そうね。それはあなたのせいじゃないわ……」
「えぇ。気にしない方がいいと思うけど?」
「あなたがやったことじゃないもの」
「誰も気付いてないみたいだし」
「きっとみんな忘れてるから大丈夫!」
「それよりさぁ~♪」
「…………ねぇ聞いてる?」
「あのねー」
「ちょっと!こっち見なさいよ!!」
「もう!!無視しないでってば!!!」
「あ、またそうやって逃げるぅ!!」
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