リコはニュースになっていた。テレビに釘付けになりながら、共通の友人のスミレに連絡した。自殺ししちゃった、相談乗ってたのに。そう言って彼女と少し会話を始めた。
あの子、最期何じゃべったの?そうスミレに言われて意表をつかれた。私、なんて言ったんだっけ。最期の会話なのに、何も思い出せない…。彼女のことは一生の友人だと思っていたのに。どうしてどうしてと考えても答えが見つからなかったし、最期の言葉もハッキリとは思い出せないままであった。
墓が立てられていた。お参りに来るからね。お盆に来るよここに。そうメッセージを墓の段の上にそえた。そうして暫くは、私殺したも同然かもしれないと考えるようになっていった。そしてその後悔は私の仕事の邪魔をした。上司に怒られる回数も増えた。
それから全てが嫌になった。墓参りなどもいかずに、現実から逃げて生きていた。朝の満員電車、ネチネチ口調の上司、社会のいつまでも解決しない規模の大きな問題までにも腹が立ち、結局私も死のうと決めて線路を見下ろした。そして身を乗り出して、なんだかよく分からないまま視点が転がり、ふんわりした気持ちのまま逝った。
~つづく~