テラーノベル
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馬車が屋敷の車寄せに滑り込んだ瞬間、逃げ出す隙など微塵もなかった。
シャーロット様は私の細い手首を壊さんばかりの力で掴んだまま
出迎えた執事や侍女たちを「見るな」と言わんばかりの鋭い一瞥で退かせた。
「ちょ、ちょっと…!」
私の抗議など、暴風に舞う木の葉のように無意味だった。
彼は一言も発さず、ただ圧倒的な威圧感を背負ったまま、私を寝室へと引きずっていった。
バタン、と重厚な扉が閉められ
内側から鍵がかけられる金属音が室内に虚しく響く。
その音は、私という獲物が完全に檻に閉じ込められた合図のようだった。
「っ……!」
短い悲鳴と共に、私は柔らかなベッドへと突き飛ばされた。
深く沈み込む身体。乱れたドレスの裾から、白く剥き出しになった太腿が露わになる。
そこへ、彼の冷徹極まりない視線が、まるで獲物の肉を切り裂くナイフのように突き刺さる。
「……どこだ」
低く、地を這うような、地鳴りに似た声。
「え……?」
彼はゆっくりと、苛立ちを隠そうともせずに軍服のネクタイを緩め、私を見下ろした。
その瞳は、昼間の澄んだサファイアの輝きを失い
ドロドロとした執着と暴力的な情欲が混ざり合った、暗い闇の色に染まっている。
「……あの子爵に、お前のどこを触らせたと言っているんだ。指か? 腕か?」
「っ、そ、それは……よく覚えてないけど……っ、でも、ほんの少し腕を掴まれただけで……!」
「『だけ』じゃない……。俺以外の男の手がお前の肌に触れた。その事実だけで、俺がどれほど不快になったか理解していないみたいだな」
彼がベッドに片膝をつき、影のように私に覆いかぶさる。
大きな手が私の両手首を頭上で一纏めに固定し、シーツに縫い付けるように押し付けた。
逃げ場は、もうどこにもない。
馬車の中よりもさらに高密度な
肌がヒリつくほどの支配の重圧に、私は呼吸をすることさえ忘れてしまう。
「汚されたところは、すべて俺が上書きしてやる」
「ん、ぁ……っ!」
強引な口づけが、今度は私の首筋へと落ちた。
サファイアのチョーカーを避けるように、けれどその周囲の柔肌を
彼はわざと深い赤色が残るほど強く吸い上げ、容赦なく歯を立てる。
「痛い」と言おうとした口は、すぐに彼の熱い唇によって塞がれた。
馬車の中でのキスがまだ序の口だったと思い知らされるほど、深く激しく
肺の空気を最後の一滴まで搾り取ろうとするような蹂躙。
「ふあ……っ、んん、は……っ、んむ……」
「……まだ、あいつの感触がこびりついている気がするな」
彼は忌々しげに吐き捨てると、私のドレスの胸元を乱暴に、けれど手慣れた仕草で押し下げた。
剥き出しになった肌に、夜の冷たい空気が触れる。
けれど、それ以上に注がれる彼の視線が焦がれるように熱く私の脆い理性をじわじわと焼き払っていく。
指先が、首筋から胸元
そして脇腹へと這うたび、全身が熱病に浮かされたように火照り、頭の中が真っ白になる。
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