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「あああもう、可愛いなあ!!」
「ちょっと悔しいけど百恋様の気持ちもわかる! いろりなら仕方ないって思うもん!」
「わわ、ふ、二人とも、恥ずかしいってば」
友人の言う通り、いろりと百恋は校内公認のカップルのように扱われつつあった。
百恋の力により常に二人は隣の席になり、時には一緒に通学したり、昼食もともにする。
ずっとべったりしていないのは、役目を終え生徒たちの記憶を消した後、自分以外に親しい者がいないとなるといろりが困るだろうと考えた百恋の配慮であった。
蛇珀が独特な雰囲気を持つ硬派な美少年なら、百恋は国民的アイドルを凌駕する、老若男女誰からも好感を持たれる正統派の美青年であった。
この百恋と、しとやかで愛らしく、成績優秀だが決して気取らないいろりが隣に並べば、文句なしの美男美女カップルに見えた。
しかしいろりはこの噂に心を痛めていた。
百恋が気遣ってくれるのはありがたかったが、切なくもあった。
いつも側にいてくれるのが、なぜ本当に欲しいあの人ではないのか、と……僅かながらいろりの強い心に、隙間が生まれつつあったのだ——。