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そんな中迎えた夏休み初日。
朝の八時、いろりが一つ大きな伸びをしてベッドを降りた時、何か小さなものが窓に当たっているような音がした。
気になり桃色のカーテンを開いて外を覗いてみると、いろりの家のすぐ下に立っている人物に気がついた。
百恋が片手で小石を弄びながら、いろりの部屋を見上げていたのだ。
「ひゃ、百恋様!?」
「おっはよー、いろりちゃん!」
思わず窓を開け身を乗り出したいろりに、百恋は爽やかな笑顔を向けながら挨拶をした。
赤いポロシャツに水色のジーンズ姿は、神職服の際には見て取れない身体の線がよくわかる。蛇珀よりやや背が高く細身の百恋は、モデルのようにすらりとした体型であった。
そんな百恋を見て、いろりは思わず蛇珀が様々な洋服を着ているところを想像して胸をときめかせてしまった。
「今日すっごくいい天気だし、一緒に水族館でも行かない? せっかくの夏休みなんだしさ!」
「あ、で、でも、私」
「大丈夫だって! これくらいの気晴らし蛇珀の奴も許してくれるだろうから!」
(嘘嘘、あいつ超心狭くて嫉妬深そうだからバレたら絶対殺されるけど!)
……とは口が裂けても言わない百恋である。
「ね、ね、お願い! 前から行ってみたかったんだけど、一人で水族館行くのも寂しいしさ、僕を助けると思って……ダメ、いろりちゃん?」
(——わざわざ来てここまで言ってくださってるのに、追い返すのは悪い、よね……?)
申し訳なさそうに手を合わせておねだりする百恋に、いろりはついにデートの誘いを了承することになる。
上野文
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