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ルーニャの説明を聞いている間中ずっと眉間にシワを寄せていたクロニカは、説明が終わると同時に深いため息をついた。
「……お前の話じゃよくわかんねぇけどさぁ、要するにオレらはまた『戦争』に巻き込まれるかもしれねえってわけだよな」
「あーうん、そうだね!」
元気いっぱいに答えたら思いっきり睨まれた。
「わかってんなら最初からちゃんと説明してくれりゃいいんだよ!なんでいきなり話し始めるかな!?こっちだって暇してるわけじゃねーんだぞ!!」
「ごめんなさいっ!」
素直に謝ったけれど、やっぱり怒られた。
(うぅ~)
なんだか理不尽な気持ちになりながらルーニャはもう一度辺りを見回した。
相変わらず薄暗い森の中だった。
「あの、ここどこだと思う?」
「知らん。つーか、なんか変な感じだしよぉ」
クロニカの言葉通り、平和な時代が訪れなければこの結界も意味はないのだ。
『結界』によって隔てられた二つの世界で、それぞれの国と民たちはどう動くのか──。
◆ ◆ ◆
それは、とある国の辺境で起こった出来事だった。
「おい! あれ!」
「なんだありゃあ!?」
「竜……じゃないよな?」
村の広場に集まった男たちは空に浮かぶ大きな物体を見て驚きの声を上げた。
彼らが目にしたのは、巨大な岩のような塊であった。
それは雲を突き抜けるほどの高さにあり、太陽の光を浴びて眩しく輝いている。
そして次の瞬間、その巨大な物体を中心に大地が大きく揺れ始めた。
「うわっ!?」「きゃあっ!!」「おいっ!! しっかりしろぉおお!!」
村人たちから悲鳴が上がる中、地面は大きく傾き始める。
「危ねぇぞっ!! 早くこっちへ来るんだぁああーっ!!!」
「待ってくれぇええ!!」
男たちは必死の形相で村の外へ向かって走り出す。
そんな中、一人の少年が転倒し、その場に残されてしまう。
「痛って……ちくしょう!! こんな時に転んじまったぜ!!」
慌てて起き上がった少年だったが、その間に巨大な物体はさらに上空へと昇り続けていた。
(あんな高さまでまさかありえない!どうして?なんで?どうやって?いつの間に!?信じられないバカな!こんなことってあるのかよ!)
誰もが驚愕し、動揺していた。
その中心にいるのは一人の少年―――――いや、青年である。
彼はついさっきまでただの高校生だったはずだ。それが今はどうだ? 身長180センチ以上はあるだろう長身痩躯、黒髪短髪で整った顔立ちに眼鏡を掛けており知的な雰囲気を出している。
そして彼が着ているのは軍服のような服で背中に剣を背負っているのだ。こんなファンタジー感満載の世界では違和感しかない格好である。
しかも腰に差してる剣を抜いていないのにも関わらず威圧感が半端ではない。まさに歴戦の戦士と言った感じなのだ。
彼の名は『佐藤悠斗』。年齢16歳、趣味は読書で好きな食べ物はチーズケーキ。好きな言葉は平穏無事であり、苦手なものは面倒事だ。
どこから見ても普通の学生だ。少なくとも俺自身はそう思っている。
「なんでこうなった?」
俺は目の前にいる3人組を見て溜息をつく。
3人は俺を取り囲むようにして立っている。
正直言って逃げたいところだが、残念ながら出口らしきものは見当たらない
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