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私と蘭々は急いで近くの居間へと逃げ込んだ。何か対抗できるいいものはないか…
・私俺を殺すとき使った、古びた鏡の破片
・黒鵺が捨てていった、ライター
・魚の骨のように細い、りんごの芯
そして、居間にあるのは酒瓶と畳くらい…
これだけで何とかなるのか。私は持っていた破片を握り、震えていた。蘭々も息があがり、居間の隅で顔を小刻みに震わせながら、荒い呼吸をする。廊下をドスドスと揺れならし、異形は居間へと入ってきた。
咲「蘭々!!逃げて!!」
蘭々「あぁあ、あんたどうすんのよぉ!!」
咲「私は大丈夫!!絶対こいつぶっ殺すから!!」
そう言われ、蘭々は私ににじり寄る異形に背を向け、走りさった。私は木箱から酒瓶を1本抜き取り、深呼吸をした。
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私のもとへ、しゅるしゅると布が伸びてくる
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私はその布を
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何とか
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掻い潜り、駆け寄った。そして手に握る酒瓶を、異形の大きい頭部へと叩きつけた。
大きな音がして、アルコールの臭いが部屋に広がった。 ぐしゃり、と布団のような頭がへこみ、その隙間にライターの炎を差し込んだ。
ボッ、
音を立てて燃え広がる火。ゆっくりとボロボロに頭の布団は崩れていく。急いでポケットから破片を取り出した。トドメを刺さないと。
焼け落ちた布から出てきたその中身は、山縣真宵だった。異形とは思えないほど普段通りな彼女の頭部だった。私と目があったんだ。その時、彼女は涙をこぼして言ったんだ。
「殺さないで…」
その言葉に、私は手に握りしめた鏡の破片をパリンと落とした。気が付かなかった。彼女の泣き顔で囁く命乞いを尻目に、異形の布が私の首を縛った。
「うっ!!」
苦しい…。ふと、真宵の顔を見た。彼女は、首が締まりプルプルと顔を揺らす私を、
真顔で見ていた。あぁ、君はそうやって生きてきたのか…
息が…できない…
もう、ダメだと思った時、突然異形に接近したのは、眼帯のヒーロー。普段周りと群れない猟だった。彼の拳は思いっきり真宵の顔めがけ飛んでいき、真宵の露わになった頭部を吹き飛ばした。
私の首に巻きついた布は力を失い、解けてゆく。私は倒れ込み、息を整えた。
猟「大丈夫かよ。」
咲「なんで…君がここに。」
猟「蘭々に言われたんだよ。お前が危ないかもって。」
澄が前に説明していた。
「異形は脳が破裂し理性を失う」
あの中にいた山縣真宵は、異形の一部、彼女ではない。そんなこと、少し考えればわかったはずなのに…
横たわったまま、顔を異形のいた方へと向ける。溶けだした氷のように、山縣真宵だった異形は、姿を消した。