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「ふぅ…さっぱりしたぁ…」
「あ、おかえり…はやちゃん」
バスタオルを首に掛けたまま脱衣所から出ると、リビングのソファには先ほど買い足したばかりの真新しいナイトウェアに身を包んだじゅうが座っていた。ゆるっとした上下のルームウェアは、いつもよりも小柄になった身体には少しだけ大きく、その着せられている感がまた愛おしくてたまらない。
「髪、乾かそうか?」
「えっ、良いの? ありがとう、はやちゃん」
嬉しそうにパタパタと近づいてくる姿は、どう見ても守りたくなる可愛い女の子そのものだ。男だった頃から顔立ちの美しさは一級品だったけれど、女体化してからは、仕草一つひとつにドキリとさせられる魔力がある。
ソファの背もたれに腰掛けた柔太朗の背後に立ち、優しくドライヤーのスイッチを入れる。ブウンという心地よい低い風の音が、静かな部屋に広がる。
温風を送りながら、サラサラとした柔らかい髪を指先で丁寧に梳いていく。
「…そういえば、事務所から正式に声明が出されたな…」
ドライヤーの風にかき消されないよう、少しだけ声を張り上げて告げる。
その言葉にふっと手を止め、少し切なそうな顔を浮かべる。
「うん、見た…俺…ううん、私は、しばらく活動休止…なんだよね…」
「…まあ、この姿じゃあ、すぐに元に戻る見込みが立つまで仕事は無理だもんな。稲垣さんも苦渋の決断だったと思うよ」
「…ごめんね、はやちゃんにも、みんなにも…迷惑かけちゃって…」
シュンと小さく肩を落とす姿を見て、胸が締め付けられる思いだった。
迷惑だなんて一度たりとも思ったことはない。ただ、こんな不安の渦中にいる恋人に謝らせてしまっていることがもどかしかった。
「謝るなよ…じゅうが望んでこんな身体になったわけじゃないんだから。」
「でも…」
ドライヤーのスイッチをカチッと切り、静かになったリビングで、勇斗は柔太朗の前に回り込むようにしてしゃがみ込むと、 不安そうに揺れるその瞳をまっすぐに見つめ返す。
「 迷惑なんて思ってない…ただ、心配だし、寂しいとは思うけどさ」
俺がそう言ってふっと笑うと、少しだけホッとしたような、けれどどこか照れくさそうな顔をして目を伏せた。 その無防備で愛おしい横顔を見ていると、自然と胸の奥が熱くなり、さっき病院で医者から告げられた言葉が再び頭をよぎる。
『幸福感に満たされた時、戻ることができた』
(迷惑なんかじゃない。俺はただ、じゅうを元の姿に…いや、それだけじゃなく、もっと心の底から安心させて、幸せにしてやりたいんだ)
「じゅう。これからどうやって元の戻るか、ちゃんと二人で考えよう。不安かもしれないけど、俺がずっとそばにいるからさ」
「…うん。ありがとう、はやちゃん…」
潤んだ瞳で見上げてくるその笑顔に、俺の理性の防壁は音を立てて崩れ去りそうになるのだった。
「…はやちゃん、電話…」
ソファのサイドテーブルに置かれていた俺のスマホを拾い上げ、画面を見せながら小さく呟いた。
「…ちょっと出るか。もしもし? お前、まだ仕事中じゃ…」
『お前らが始める前にかけた方がいいと思ってな…』
「始めるって…お前…! んで、何の用なんだよ」
受話器の向こうの仁人は、呆れたような、それでいてどこか苦笑しているようなトーンで話を続けた。
『まあ、落ち着けって。実はな、さっきレコーディング終わりに舜太が、裏で俺達を見かけたって…結構鋭いところまで勘づいててさ。なんとかその場はごまかしたけど、太智が気づくのも時間の問題だと思う』
「舜太が…?」
受話器のスピーカーから漏れる仁人の声を、目の前で聞いていたじゅうが小さく息を呑んだ。
「あっ…」
「どうしたんだ?」
「…3人で部屋から出る時…一瞬だけ後ろ姿が見えて、舜ちゃんっぽいなって思ってたんだけど…気のせいじゃなかったんだ…」
青ざめるじゅうに、俺は「大丈夫だ」と示すように抱き寄せて、その頭を優しく撫でる。
『…事務所的にはまだあの2人には知られたくないだろうけど、正直、これ以上隠し通すのは難しいだろうな。俺だって、同じグループのメンバーに隠し事してるなんて…正直キツイなって思ってるし…現に今…お前にこうして連絡しなきゃいけないくらいには追い詰められてるからな。』
「…悪いな、仁人。板挟みにさせちまって」
『…リーダーなんだから、仕方ねぇだろ。これくらいの愚痴くらい、大目に見てくれよ』
いつものように軽口を叩きながらも、その声の端々には、メンバーを大切に思うからこその重圧と、隠し続けなければならない苦渋が滲んでいた。
『…仁ちゃん、誰と電話してるん?』
受話器の向こうから突然聞こえてきたのは、先ほどまで仁人と楽屋にいたはずの舜太の声だった。
『…へ…?』
「…今の声って、舜太…だよな?」
「…ん…」
目の前で小さく息を呑み、不安そうに俺の袖をギュッと掴む。電話の向こうでは、急な展開に焦った様子の仁人が慌ててごまかそうとする気配が伝わってきた。
『おま、今大事な電話中だから…ちょっ…あっち行ってろって…!』
『もうすぐ本番呼ばれるから、仁ちゃんに伝えないかんなーって思って…って、誰と電話してんの…まさか、はやちゃん…?』
『…悪ぃ、そういうことだ。またなんかあったら連絡するし、そっちもなんかあったら連絡しろよ?』
「お、おう…」
『じゃあな!』
プツッ、と冷たい電子音を残して通話が切れた。
静まり返ったリビングに、二人分の重たい息づかいだけが取り残される。
「…舜ちゃん、近くにいたんだ…」
じゅうが青ざめた顔で小さく呟く。仁人は必死に隠そうとしてくれていたものの、隠し通す限界は、もう目の前まで迫っていた。
【……To be continued】
さて第7話…いかがでしたでしょうか??ここで一応、このお話での5人の立ち位置などを簡単に整理しておくとこんな感じになります。
🩷→🤍と2年前から付き合っている。基本的に🩷の視点で物語が進んでいく。
🤍→🩷と2年前から付き合っている。ある日の朝、目覚めると女体化していた。
💛→リーダー。当事者以外で柔太朗の女体化を知る唯一(※第7話時点)のメンバーである。
💙→第7話時点で未登場の為、気づいてるかどうかは不明。
❤️→💛の説明により、何かしらの問題が🤍に起きていることは理解したものの、まだ納得していない。💛曰く、恐らく何かしらのアクションは起こしそう(💛的には心苦しいけど全力で止めたいとの事)。
※メンバー全員、🩷🤍が付き合ってることは知っている…というか付き合うことになった時に報告している。
【🩷🤍の攻め受けについて】
本作では、🩷が攻め、🤍が受け…という形を取っているが、🤍が🩷を誘惑したり、小悪魔的な態度を取っている(因みに元の姿の時も女体化した時もこの点は同じである)。
【女体化した🤍の容姿について】
・身長→165センチ前後
・体型→元の姿とあまり変わらない感じ
・胸の大きさ(参考までに)→胸の大きさは小さすぎず、大きすぎないぐらい
・髪型→肩ぐらいの長さまで伸びている
という感じの設定で執筆しています。
因みに🔞については、🔞そのものというより、🔞があったんだろうな…と察せられるシーンを今後登場させる予定ですので、よろしくお願いします(🔞を期待されていた方がいらっしゃいましたら、すみません…)。
コメント
2件
更新、ありがとうございます!今回は、本編ですね。 一個人としてですが、山中くんに対して佐野くんが「着られてる感」のある服というのが、いい言葉選びだなと尊敬いたしました。言葉の節々から山中くんの愛らしさや場の危機感が伝わり、想いの込められた文章なのだと感じました。 毎回、すごく続きが気になる書き方をされていますね… 次回を心待ちにしています!
第7話お疲れさま〜!!🌸 もうね、じゅうの可愛さと、はやちゃんの優しさにやられっぱなしだったよ…🫠💕 髪乾かしてあげるシーン、あの無防備な感じがエモすぎて胸がギュッてなった😭🤍 仁人さんからの電話で舜太にバレそうになる展開、めっちゃドキドキしたし!! でも、仲間内で隠し事しなきゃいけない辛さもすごく伝わってきて切なかったな… これからどうなるんだろう?二人の絆と、メンバーとの関係がどう変わっていくのかすごく気になるよ! 続きめっちゃ楽しみにしてるね〜!!⋆♡