コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
傷はただの見かけに過ぎない。
痛いというものは嘘だ。
国のために死ぬことは嬉しいこと。
悲しんではいけない。
それと…
何があっただろう。
忘れてはいけない教訓なのに、忘れてしまった。
私が不完全なツクリモノだから?
「ドール、もう復帰しても良いのか? もう少し安静にしておいた方が…」
「お心遣い感謝いたしまス。中佐。大丈夫でス。前線は私が引っ張らないといけませんのデ。」
中佐は心配性過ぎると思う。
まだ完全に傷は塞がっていなくても、歩兵ごときがそんなことを気にしなくてもいい。
これも教訓の中の一つだったかな。
「ドール、君は早死にしてしまいそうだね。」
「中佐もそう思いますカ?最近、私もそう思うようになりましタ。」
そう「思う」ようになった? ツクリモノの私が?
ふと思い付いたことを言ってみただけのはずなのに、なぜかそれが自分の本心のように感じた。
「前に言っただろう?君も人間だと。人形じゃないんだよ。」
私が、自分で発した言葉に驚いているのを見て、中佐は笑って言った。
「どうなんでしょうカ。私はもう人間にはなれませン。人形のままでいいでス。それではこれデ。」
そう言って、私は前線に戻って行く。中佐に背を向けて。
私はツクリモノだから、本物の感情なんてものはなくてもいいんだ。
だから私は、貴方とは同じ世界には居られない。