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凛と咲く紫陽花をたっぷりと堪能してしまい、家路につく頃には辺りはすっかり暗くなっていて、私は歩調を合わせ一緒に歩く人物にさっきから同じ言葉を繰り返していた。

「ねぇ、中条さん。お願いだからそろそろ帰ってくれるかな!?」

「なに言ってんの。家に入るまで見届ける。この辺は日が落ちると暗いだろ」

初めに一緒に帰ろうと言ったのは確かに私の方だ。だけどよくよく話を聞いたら中条太一の自宅は私の家に真逆で、そのうえ彼は会社まで車で通勤しているとのこと。

車で送るという申し出を断ったのは、そうすれば一緒に帰るという話が消えてなくなるのではと考えてのことだったが、結果、中条太一は自宅へと続く道を歩く私の隣を歩いている。

もちろん彼にとって得と言えるものは何一つない状況なのに、何度言っても家まで送ると聞かない中条太一に嫌気がさした。

「暗いとなんなのよ。残業のときでも毎日ここ通って帰ってるんですけ**************

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