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翌日。今日は父が不在のため、一人で高校に登校していた。回りには私を睨む生徒で沢山。
(もう噂が広がってるんだ…。)
私はいつもより少し早歩きで、高校に向かった。もちろん高校に着いたからといって視線が変わるわけではない。だが、生徒じゃない人にも変な目でみられるのはごめんだった。教室の扉を開けたとき、目の前から水が襲ってきた。その水をかけてきたのは同じクラスの生徒だった。みんなは濡れた私をみてクスクスと笑った。中には大声で笑う人もいた。私は濡れたまま自分の席に座った。後ろにはパーソンが驚いた表情でこちらを見ている。だが、話しかけてはくれない。きっと、いじめられるからだろう。
「あら、ごきげんよう。虫けら。」
わざわざ私の前に現れたのは、そう。あの三人組だった。
「虫けらが教室にいたら、このクラスの雰囲気が悪くなってしまいますわ。」
「早く追い払って差し上げないと。」
そういって、三人組の一人が私の頬にビンタをする。始めてのビンタがこの人になるだなんて。私はその場でビンタが止むのを待った。
「あら、虫けらがまだここにいますわ。」
「頑固な虫けらだこと。」
「そういえば、虫って、水が苦手でしたわよね!」
「そういえばそうでしたわね!」
その時、三人組の一人が、私の後ろの席の机にバンッと手を打ち付ける。
「パーソンちゃん、お・ね・が・い♡」
その時、私は目を丸くした。
「は、はい…。わ、わかり、ました…。」
パーソンは足を震わせながら席を立った。
「ほら、早くしてくれません?」
「す、すみませんっ!すぐっ、すぐ持ってきますっ!」
そういって、パーソンは駆け足でバケツに水を汲む。数十秒後、バケツが渡されると、一人が私の机にバケツをどかんと置き、もう一人が私の後頭部をわし掴む。そしてもう一人がカウントダウンをする。
「3.2.1…」
突然息ができなくなる。
(だめだ…。こんなのだめに決まってる…。)
私は自分の手でバケツを前に倒した。顎にバケツの縁がぶつかったもののキズはできなかった。
「はぁっ…、はぁ…っ、はぁ…。」
「は!?ちょ、制服が濡れてしまいましたわっ!」
「大丈夫ですの!?」
「あいつっ…、よくもやりましたわねっ!」
クラスがざわめいた。私はそんなことも気にせずに、教室から歩いて出ていった。私は保健室のドアをノックした。中から声がすると、私はドアを開けた。すると保健室の先生、ジェリー先生が目を丸くし、口を大きく開けて言った。
「まぁ!どうしたの!?」
「水溜まりで濡れてしまったんです。着替えを貸していただけませんか?」
「え、えぇ、いいけど。」
そういってジェリー先生が代わりの制服を用意する。
「はい。サイズこれでいいかしら?」
「はい。ありがとうございます。」
私は保健室にある更衣室に入り、借りた制服に着替える。
(そういえば、下着まで濡れてるんだった…。)
私は下着を脱がずに、借りた制服に着替えた。着替え終え、私は先生に「ありがとうございました。」とだけ言って、保健室を出た。いじめられていることなんて、言えなかった。教室に入ると、ホームルームの途中だった。
「あら、マリーさん。ホームルームもうはじまってるわよ。」
「すみません、お手洗いに行っておりました。」
私はそういって席に着いた。
「これでホームルームを終わります。」
「起立、礼。」
ホームルームが終わり、ジョン先生が教室から出ていくと、ほとんどの生徒が私をにやっとした表情で見つめる。
(あ。)
「何勝手に制服に着替えてるんですの?」
「許可取ってませんわよね?」
三人組の中の二人がそう言う。私は三人組を睨むだけでなにも言わない。言わせておけと思ったからだ。
「あらあら、無視?虫けらは返事もできないのですね。」
回りがクスクスと笑い始める。すると、三人組のもう一人が私の耳元で囁く。
「今日の放課後、屋上来い。プレゼントも用意してるから。」
(誰がいくものですか。 )
私は動くことも、話すこともなく、ただそれを聞くだけにした。
「来なかったらあんたの友達殺すよ。」
「ちょっと…っ!」
私は思わず席を立ち上がる。三人組は手の甲を口に近づけて笑いながら教室を出た。それと同時にみんなも教室を出た。次の授業は、音楽だ。
(セローナ、最近私と話してくれないけど、やっぱり話しづらいよね。)
私は教室を移動しながらふと思った。
ー続くー
ご視聴いただきありがとうございました。