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「ジェイド、好きです。付き合ってください!」
「無理です」
――141回目。いつも通りのやり取り。
けど、今日は、ちょっとだけ違う。
だって、私はもう覚悟を決めたから。
告白して、笑って、断られて、また笑って。
そんな日々に、疲れたわけじゃない。
でも、私は思ったの。
(このままじゃ、“恋してるだけの幼馴染”で終わっちゃう)
それだけは、いやだった。
ジェイドの隣にいたい。
“推し”じゃなくて、“彼女”として。
ちゃんと、向き合ってほしかった。
フロイドにはバレてる。
ていうか、たぶんアイツは最初から気づいてた。
「……ねぇ、ユメちゃん。どっか行く気でしょ?」
「……うん」
「ふーん。つまんないな~。ジェイド、絶対後悔するじゃん。おもしろ」
「いや、そこ笑うとこじゃないから!?!?」
苦笑する私に、フロイドは目を細めた。
「でも……ま、いっか。オレ、止めないよ。
好きにしなよ。ユメちゃんは、ちゃんと戦ってたから」
その言葉が、なんだか胸に刺さった。
アズールにも、バレてた。
というか、アズールは“全部わかってる顔”をずっとしてる。
「ジェイドは愚かですね。ここまでされて、まだ自覚しないなんて」
「……それ、本人に言ってよ」
「言ってますよ?でも逃げるんです、彼は」
「……そうなんだ」
だから私は、逃げないことにした。
最後まで、私の好きはちゃんと伝えた。
あとは、彼が選ぶ番だと思ったから。
私は、荷物をまとめた。
人魚の姿に戻れるよう、海の魔法薬も準備した。
「もうすぐ監督生が来る。新しい風が吹く。
きっとジェイドも変わっていくんだろうな」
その中に、私はきっと、いられない。
「だから――さようなら」
心の中でだけ、そう呟いた。
でも。でもね。
涙が止まらないのは、なんでだろう。