テラーノベル
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何かを失った、ということに関しては心当たりしかなかった。けれど、この人たちも俺と同じような境遇だというのか?そんなふうには見えなかったが…。
凛花「…ということはここにいる方々は皆様ワケアリの方々ということですね?」
零「そういう訳だな。…というか、お前もそのワケアリの中に含まれているんだからな?」
凛花「まぁ、確かにそうですわ。どうしてこんなことになってしまったの…明日からティーパーティーでしたのに。」
凛花と零がそんな会話をしていた。確かに、零は何かしらあったからあんな態度を取っているのだと思えば少しは納得できる。そんな時、詩乃が先生に何か聞いているようだった。何を聞いているのか気になった俺は、詩乃に近づいてスケッチブックを覗いてみた。
詩乃『私たちはその新たな光…?を掴まない限り元の高校には帰れないのですか?』
先生 「そういうことになりますね。あなたたちは普通に学校に行ける精神を保つことがこれから難しくなるでしょう。ですから、ここで新たな光を見つけ、元の高校では元気に過ごして欲しいのです。」
詩乃は少し嬉しそうな顔をして、スケッチブックを閉じた。なるほど、ここで今俺たちが抱えている問題を解決しなければいけないのか。そうしたらまず必要なのは皆がどんな状態なのかを共有することだ。けれど、こいつらが簡単に言ってくれるとは思えない。…一応提案してみるか。
蒼「…まずみんなで情報共有をしないか?」
詩乃『賛成です!私もみなさんのこともっと知りたいです』
悠真「僕も賛成!他の人たちとも仲良くなりたい!」
続々とそういう声が上がっていくのに、ひなたと零は動く気配がない。その2人に声をかけようとすると、すごい目つきで睨まれた。うーん…どうしようか。そう思っていたら先生がとある情報を持ってきた。
先生「苦戦されているようですね。」
蒼「先生!…これ、俺たち具体的にどうすればいいんでしょう?」
先生「…そうですね、それでは少し救済措置を付けましょうか。」
先生が指を鳴らすと、何枚かの写真が黒板に現れた。そこには俺たちの写真が一枚ずつ並んでいた。灯が病院にいる写真、詩乃がベッドで眠る写真、陽翔と陽翔に似た人物、俺とかつての親友が並んでいる写真、泣いている幼い透の写真、誰かの酷い火傷痕の写真、悠真と家族らしき人たちの写真、凛花が1人で本を読んでいる写真、名前が黒塗りになった書類の写真がある。
蒼「…この写真見ながら考察しろってことですか?」
先生「そういうことです。これはあなたたちに関係がある写真です。わかりにくいものもわかりやすいものもありますから、皆様で考察してみては?」
透「…ところどころわからない写真があるな。名前が黒塗りの書類も気になるし、詩乃がただ寝ているだけの写真も関係あるのか?」
そんなことを話していると、急にガタン、と音がした。その音の方を見てみると、悠真が頭を抱えてしゃがみ込んでいた。…いや、音的に膝から崩れたのだろう。そばにいた灯が心配そうな顔で背中をさすっている。
灯「どうしたの、大丈夫?」
悠真「……知らない、あんなの…、僕じゃない、僕じゃない…!! 」
蒼「どうしたんだ、悠真?!先生、悠真が気分悪そうで…!」
先生「大丈夫?少し休もうか、悠真くん。」
先生が手で悠真の視界を遮ると、悠真はすぐに寝てしまった。先生が何者なのかも気になるところだが、そもそもこの学園が意味わからないんだ、考えるのはやめよう。と言っても、悠真の様子が変になったことが気になる。写真が出てすぐだったような気がするが…。
蒼「灯、さっきの様子をもう一回聞いていいかな?」
灯「もちろん…!さっき、黒板に写真が出たでしょ?その時に、写真を見てすごく驚いた顔をしてたの。そうしたら『こんなの知らない』って呟いてああなっちゃって…」
さらにわからなくなってしまった…何かそんなに驚くことがあったのか?周りの生徒も何か考えていないだろうか。少し意見を聞いてみることにした。にしても…誰に聞こうか。真面目そうな奴に聞いてみたいところだ。そんな時、チャイムが鳴った。先生は昼食にしようと言って廊下に出ると、懐かしい配膳台を出してきて、美味しそうな料理が並べられた。
凛花「まぁ!すごく美味しそうです!!」
透「いただきましょうか。推理はそこからですね。」
皆で昼食を食べた後、俺はまた推理を始めることにした。まずは透の意見を聞いてみよう。
蒼「透、悠真のことについて推理しているんだけど、何かわかったことはない?」
透「そうだね…あの写真を見てから様子が変わったのはわかった。でも原因とかは全く見当がつかないな…それにまだ出会って間もないし相手のことを全然知らないからな…」
凛花「あら?あなた方はまだ気がついておりませんか?あの子の秘密について」
透「凛花さんは何か気がついたんですか?」
透がそう聞くと、凛花は自慢げに頷いた。凛花によると、凛花は悠真のことを知っている幼馴染のようだ。2人は中学校まで一緒で、高校生になってから凛花が高校受験をしたために別れたそうだ。
凛花「確か、あの子は事故に遭ったと聞いたことがあります。中学一年の終わり頃でしたかね…そのぐらいに、一時クラスの話題になっていましたの。」
蒼「事故か…それが原因であんな風に…?うーん…まだ確証が持てないな…。」
透「…あ、そうか、なるほど!わかりましたよ、悠真くんがああなった理由が!」
蒼「わかったのか?!」
透「ああ。…もう一度、状況を整理して考えてみればわかるはずだ。どうして悠真があんなに驚いたのかということを。」
俺はもう一度よく考えてみることにした。どうして驚いたのか、だって?普通驚く時と言えば、意外性をつくものだったり、考えもしなかったり、身に覚えがなかったり、か?
蒼「…!!そうか!やっとわかった…!」
Next class……
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