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新入生の測定も最後の1人となった。
周りにはもう友達を作ってだべっている人達もいる。
私はそれを横目に最後の一人をみていた。
美人なのにボーッとしているその子は眼鏡の男にせっつかれ水晶に手を翳した。
「おい、魔力を流せ」
暫くぽけーとしてると眼鏡の男が怒気を顕に女生徒を睨む。
「あ、そっかー」
背筋が冷えるほどの眼差しを受けても平然としている当たり度胸は凄いらしい。
女生徒が半目でやる気のない雰囲気から目に力が籠る。彼女の目から魔力が漏れる。その粒子は紺色で夜を連想させた。
水晶はパキッ音を立ててひびが入ったと思ったらひびは全体に広がり水晶を粉々に粉砕した。
「名は?」
「レイ・マーシャル」
「マーシャル家の者だったか。次ゴーレムに攻撃を。剣は必要か?」
「大丈夫」
レイは私の方をチラリと見ると眼鏡の男に問いかける。
「ねぇ、彼女の守り手になるにはどうすればいい?」
「簡単な事だ。力を示せ」
「りょーかーい」
レイは杖を顕現させ魔力が可視化できるほど杖に集めた。
『斬る為に偽りの姿を、その姿は誇らしい』
そう唱えると杖は純白な聖剣へと姿を変えた。
全てが白。私とは真逆で太陽のように明るく、朝日のように美しい。
講堂にいる全ての、いや、学園全体にその光は浸透していく。
スッと光が全て聖剣へと凝縮される。
『浄化』
ボソリと一言呟き聖剣を突くようにゴーレムへ向ける。
白の閃光が迸る。音が遅れて伝わる程に速い一撃。ゴーレムどころか講堂の壁全てを吹き飛ばし風穴を開けた。
「ふむ。学園創立以来3人目の1年での海だ。おめでとう」
彼女が突きの姿勢から直り振り返る。
その姿は凛として美しく映った。