ーー星野家ーー
「彰人、そうじゃないって言ってるだろ、」
「わっかんねぇよこんなん……」
彰人が『勉強を教えて欲しい』って言ってきたから泊まりで誘ったのに、いくら教えてもほぼ進まない……
「まともに勉強しなかったら英語で会話するから」
「どういうキレ方だよそれ、」
でも英語嫌いの彰人にはいい方法だろ?聞いてみると、そうなんだがな、と諦め半分くらいで答えた。いつも話してる時は楽しそうなんだけどな……勉強そこまでしたくないのか、
「『教えてくれ』なんて言わなきゃ良かった、」
「折角青柳に『彰人が勉強に誘ってくれた』って言ってやろうと思ったのにな」
「ごめんなさい」
こんな感じで青柳を出すとすぐ謝ってくれるし真面目にしてくれるが…正直彰人のそういう所には嫉妬してしまう。相棒とか仲間は大切にしたいとか、そういうのは分かる。でも、一応俺だって恋人だ。目の前で他の男に弱いところを見せられると、正直嫌だ。
「……アクア?」
「、なんでもない。ただお前のこと嫌いだなって」
「酷、これでも恋人なんだけど?」
恋人だからそういう所嫌なんだよ、と言いたくなるが、その言葉は心の中に閉まっておくことにした。
「、アクア、本当に大丈夫か?」
「……彰人、なんで青柳にそんなに甘いんだ?」
「は?甘いわけじゃ、」
「…甘いだろ、青柳に弱いし、俺より青柳と話してる方が楽しそうだし、」
まずい、思考がどんどんネガティブな方に傾いてしまう。
落ち着け、俺はあくまで役者、演じるのは得意なはず、
こういうことは口に出したらダメだ、隠せ、隠せ。
「青柳が好きなんだろ?どうせ、俺知ってるんだぞ?、彰人と青柳が付き合ってるって噂されてたり、彰人と青柳が2人きりのデートでカフェに行ってたって噂も、」
彰人は、ビジネスとしてあかねと付き合うことも、有馬に思わせぶりな態度することも、復讐のために何でもするっていうのも、全部許してくれてるのに。
俺は、彰人がたった1人に甘いというだけで嫉妬して、ネガティブになって、迷惑を掛けてる。
自分の器の小ささを、痛感することになった。
「…アクア、すまん、」
「…別に、そこまで気にしてる訳じゃないし。いい、」
そう言って俯く。その瞬間、ふっと体が少し浮いた気がした。
「俺はアクアのことしか恋愛対象として見てない。アクアは俺の大切な恋人だ。」
「……ぁ…」
少し強引に立たされて、ぎゅっ、と抱きしめられた。
シンプルな言葉でも、今1番欲しくて、嬉しい言葉だった。
嬉しい、幸せだな、と思っていると、ぼや、と視界がぼやける。
頬に何かが伝っている。あぁ、俺、泣いたのか。
彰人にそう言って貰えて、嬉しかったんだ。
そう思うと、随分色々と溜まっていたんだな、と少し他人事に思う。
そして、あれから俺の部屋には、子供のように泣きじゃくっている俺の声と、優しく安心させるような声で、俺を慰める彰人の声だけが響いた。
コメント
7件
最高❣️❣️❣️
彰アク!初めて見た!でも今まででいっちゃん好きだわ、彰アクのシリーズもっと見たいです!
物凄く早くてびっくりしました…! す、凄い…好みどストライクだ……! 彰アクありがとうございます!