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레몬인
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そあち♡໒꒱
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なんたろ
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コメント
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うわっ、ついに来たか…! 涙出たわこれ。IRSとの死闘からぎっくり腰、そして税金地獄の果てに手にした325万円のキャッシュ。結愛さんの「おめでとうございます」がたまらんかった。あの冷徹経理担当がここで優しくなるのがズルいよね。250万円の振込、エンターキー叩き割るシーンはマジで熱い。Ver2.0でアリスちゃんの隣に立つ日を想像したら俺も興奮したわ! 続き超楽しみ🔥
第145話:見えてきた希望(250万円)〜資本主義の荒野に咲いた、一輪のVer2.0〜
「……痛たたたっ。まだコルセットが手放せねえな」
北海道、帯広市。
築三十年のボロアパート、四畳半の空間。
俺は、限界を迎えて座面がヘタりきった三万円のゲーミングチェアの上で、ミリ単位で腰の角度を調整しながら息を吐いた。
アメリカの税務署(IRS)との死闘と、それに伴う極度のストレスが生み出した、四十歳の肉体を破壊する『特大のぎっくり腰』。
あれから数日。俺は一日一食の特売の袋麺生活をしていた頃のハングリー精神を思い出し、質素な生活に耐えながら、ようやくPCの前に座れるまで回復していた。
『ルシフェル様、お加減はいかがですか。あまり無理をして再び腰椎を爆発させられますと、労災の手続き(役員には適用外ですが)等で私の業務工数が増加しますのでご留意ください』
ディスコードの向こうから、我が株式会社インフィニティ・ワンの冷徹な経理担当・結愛(ゆあ)の、相変わらず温度を感じさせない声が響く。
「わかってるよ。それより、どうなった? 例の……決算と税金のシミュレーションは」
俺が恐る恐る尋ねると、結愛のタイピング音がリズミカルに鳴り響いた。
ここ数週間、我が社はまさに激動の渦の中にあった。
俺が血迷って手を出したFX(為替)による数百万円の損失ショック。
YouTubeから突然突きつけられた、謎の英語フォーム『W-8BEN』と、IRSによる源泉徴収30%の恐怖。
さらに、海外からのスーパーチャット売上に対する、日本の消費税(輸出免税)の複雑怪奇な計算による脳細胞の破壊。
そして、俺の腰の爆発を機に完全に『覚醒』したズボラ猫耳娘・ヨモが叩き出した、一晩で数百万円という天文学的なドルの雨。
すべてが規格外。すべてがインボイス制度の恐怖を遥かに超える、資本主義の暴力だった。
『ジェミニ先生。社長のモニターに、当月の最終的な財務レポートを出力してください』
結愛の指示を受け、AIアシスタントのジェミニ先生が無機質な声で答える。
『承知しました。ルシフェルさん、これが日米の租税条約適用後の免税処理、および来年度の法人税、消費税、各種社会保険料のMAX張り付きをすべて計算し終えた、【最終着地予測】のデータです』
PCモニターに、エクセルで作られた無慈悲な表が映し出された。
そこに記載されていた『来年の納税予定総額』の欄を見て、俺は喉を詰まらせかけた。
「げっふ……!! な、なんだこの金額!? 家が……いや、高級外車が余裕で新車で買える額じゃないか!!」
『はい。ヨモさんが海外から稼ぎすぎたため、当社の利益(法人の課税所得)は完全に跳ね上がり、法人税等の負担がかつてない次元に突入しました。これでも、私が合法的な範囲で経費を限界まで計上し、消費税の課税売上割合をシミュレーションして圧縮した結果です』
結愛は淡々と事実を告げる。
「お、終わった……。俺の人生、完全に終わった……っ。稼いでも稼いでも、結局は国に吸い上げられていくんだ……。俺は一生、この四畳半で税金に怯えながら袋麺をすすり続けるしかないんだ……」
俺が絶望のあまり、ゲーミングチェアの上で白目を剥いて天を仰いだ、その時だった。
『ルシフェル様。貴方は経営者として、一番重要な【数字】を見落としていますよ』
「……え?」
『来年の税金が莫大になるのは事実です。しかし、それはあくまで「利益が出たから」に他なりません。税金を払ってなお、手元に残るものがある。それがビジネスです』
結愛が、モニターの画面をスワイプするように切り替えた。
『こちらの画面をご覧ください。来年の税金支払い用として、売上の【60%】を絶対に手をつけてはいけない別口座にロックしました。その上で……現在、我々のメインバンクの口座に残っている、【完全に自由に使える純利益(キャッシュ)】の額です』
画面の中央に、一つの数字が大きく表示された。
『¥ 3,250,000』
「…………は?」
俺は、自分の目を疑った。
老眼が始まったのかと思い、何度も瞬きをして、モニターに顔を近づける。
さんぜん、じゃない。さんびゃく、にじゅうごまん。
「さ、三百二十五万円……?」
『はい。FXの損失を完全に補填し、来年の地獄の税金プールを確保し、私とヨモさんの報酬を支払い、さらに来月以降の運転資金を残した上で。株式会社インフィニティ・ワンが、純粋に【投資】に回すことができるキャッシュです』
結愛の声が、いつもより少しだけ、本当に僅かだけ、優しく響いたような気がした。
『ルシフェルさん、おめでとうございます』
ジェミニ先生の合成音声が、ファンファーレのように四畳半に鳴り響く。
『既存の3Dモデルを根底からアップデートする、新衣装および【3DモデルVer2.0化プロジェクト】の開発・実装費用。表情トラッキングの高度化、指先のボーン追加、漆黒のマントの物理演算強化。ポリゴン・アーツ社へのお見積り金額【250万円】。……現在の口座残高で、即金での一括決済が可能です』
「あ……」
俺の目から、ポロリと、大粒の涙がこぼれ落ちた。
「払える……。払えるじゃないか……っ」
三万円のゲーミングチェアの肘掛けを強く握りしめる。
以前、星乃宮アリスちゃんのチャンネルで初めて3Dコラボをした時。アバターの見た目は超絶イケメン魔王だったが、当時の安価なモデルでは指先の動きもガチガバで、ちょっと激しく動くだけでマントが壁を突き抜けてホラー映像のようになっていた。
あの悔しさを、世界中のリスナーに笑われた『スーパーボトム』の汚名を、俺は自分の力で雪ぎたかった。
アリスちゃんの隣で、今度こそ完璧なステップを踏むために。
「結愛……。ジェミニ先生……」
俺は、震える手で顔を覆いながら、嗚咽を漏らした。
「俺……完璧な魔王(Ver2.0)になれるんだな。四畳半のボロアパートにいながら……世界最高峰の技術で、アリスちゃんの隣に立てるんだな……っ」
『はい。貴方はそれを、自分自身の力(と、ヨモさんの才能と、私の完璧な経理処理)で勝ち取ったのです。胸を張ってください、社長。……さあ、社長の決裁(エンターキー)を待つのみです』
モニターに、250万円の振込実行画面が表示される。
いつもなら、数千円の出費でさえインボイス電卓を叩いて躊躇する俺だが、今日ばかりは、迷いは一切なかった。
「……いくぞ」
俺は、涙を拭い、社長としての威厳と四十歳の覚悟を込めて、右手を高く振り上げた。
「これが、俺たちの反撃だ!! 資本主義の荒野に、俺の最強のVer2.0を咲かせてやる!!」
タァァァァンッ!!
四畳半の部屋に、エンターキーを叩き割るような力強い音が響き渡った。
振込完了。俺の夢のバージョンアップが、ついに確定した瞬間だった。