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一つ屋根の下、地雷注意報

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一つ屋根の下、地雷注意報

13 - 第十二話:「ちょっと、外」

2025年05月10日

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夜8時ごろ。
テレビは、つけたまま誰も見てなかった。

俺はソファに座って、スマホゲームをだらだらやってた。


るかは、隣で毛布にくるまって、

天井をぼーっと眺めてた。


無言が、もう日常になってる。


そんな中、

るかがふいに立ち上がった。


「ちょっと、外行ってくる」


「……は?」


思わず顔を上げる。


るかは、

スマホとイヤホンだけ持って、スリッポンをつっかけた。


「別に、すぐ帰るから」


「……」


俺は何も言えなかった。


どこに行くのかも、

何をしに行くのかも聞かなかった。


聞いたら、

たぶん、怒られるか、黙られる。


それがわかってた。



玄関のドアが静かに閉まったあと、

部屋に取り残された俺は、

スマホを伏せて、天井を見上げた。


さっきのるかと同じように。


(……なんだよ、別に)


なんでもない。

ただ、外に行っただけだ。


そう思うのに、

胸のどっかが、もやっとしていた。



10分、20分、30分。


音楽を流しても、

ゲームを起動しても、

るかのいない空気は、思った以上に静かだった。


(帰ってこないな)


そう思った頃、

カチャ、と鍵が回る音がした。


ガチャ。


ドアが開いて、

るかが無言で入ってきた。


ちょっとだけ、髪が風に乱れてた。


「……」


「……おかえり」


俺は、自然にそう言った。


るかは、

一瞬だけこっちを見て、すぐ目をそらした。


「ただいま」


それだけ言って、

またソファにごろんと倒れ込んだ。


何も話さない。

何も聞かない。


でも、

戻ってきたことに、ほんの少しだけ安堵した自分がいた。

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