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第11話 密約と不審な動き
md side
僕とトロンは転移して、トロンの商会の自室にやってきた。トロンは僕をソファに座らせるとお茶を入れて戻ってきた。
トロン・フォグナー(tr)
「どうぞ、ガイストさん。最近仕入れた茶葉なんですけど。」
ガイスト(md)
「あ、うん。ありがとう…。」
僕はトロンに出されたお茶を1口飲むと、トロンに目線で話を催促した。
tr
「…今回の依頼はガイストさんにしか頼めないお願いなんです。」
md
「さっきも言ってたけど、それってどういう意味?」
tr
「ガイストさんは魔法陣のことなら他の魔術師達より知識があります。もちろん私達七つの王冠のメンバーよりも知識がおありだと思います。」
md
「まぁ…そうだね。それで僕は………七つの王冠の一員になったわけだし。」
ほんの少し言葉を詰まらせてしまったが、トロンは軽く頷きながら話を続ける。
tr
「そこでこの魔法陣を見て欲しくてですね…。」
トロンは傍にあったカバンから1枚の羊皮紙を僕に手渡す。僕は渡された羊皮紙に書かれていた魔法陣を見つめる。
tr
「見ての通り魔法陣です。ただ…これは私の知ってる魔法陣とはどこか違うような感じがして、もしかしてガイストさんなら何か分かるのではないかと思いまして。」
md
「………。」
確かに一般的に知られている魔法陣ではなさそうだ。一般的に知られている魔法陣にいくつか別の線が加わっていたり、昔の魔法陣にしか使われていなかったようなものが書かれてある。
md
「これ、どこで?」
tr
「いつもお世話になっている商人の方からこちらをいただきまして、何でもこの魔法陣には特別な何かがあるのだそうです。」
md
「特別な何か…?」
そう言われると分からないことだらけになる。でも確かに1つ言えるのは、これは現在使われているようなものでもなく、僕が今昔の魔法陣について研究をしているが、今持っている知識では一部解読できないということだ。
md
「これ、もらってもいい?」
tr
「はい、構いません。元より解読をお願いするつもりだったので。何か分かったら連絡してください。私もいただいたものなので、何があるのか気になっていて。」
md
「分かった。じゃあ早速帰って研究に取り組むよ。」
tr
「はい、それではよろしくお願いします。」
そう言った後、僕は転移魔法を起動して自分の部屋に戻った。なんだかドッと疲れた。第三王子の騎士になったり魔法陣の解読だったり…。やる事が多すぎてここ数日は立てこもりそうだな。
とりあえず自分の手元にある資料や知識でどれくらい解読できるかやってみよう。見た時にこれっぽい感じはするけど明確に分かった訳じゃないし。
僕は引き出しから紙とペンを取り出して解読に取り組んだ。
―――――――――――――――――――――――
el side
私は魔術師団が寝泊まりする宿舎でただ自分の自室に向かって歩いていた。周囲を見渡すと疲れ切っている仲間達の姿がそこにあった。明日からアイリスの所属している騎士団と共に第三王子誘拐事件の現場となった場所に行き、そこでその時の状況も含めて調査する必要がある。ガイスト達の報告にあったキメラにもこの先注意していかなければならない。
…だけど、最近アイリスの元気がないように見える。他の兵達の前では堂々としていていつものアイリスのように見えるけど、会議の時や私との会話の時、どこかうわの空になっていた。本人に聞いても大丈夫との一点張り。
アイリスとは学園時代からの親友ということもあるので心配になっている。アイリスに元気がないと私もどうしていいのか分からない。何か元気づけられる方法があればいいのだけど。
その事を考えながら歩いていると自室の前を1人の魔術師が待機していた。服装を見るに同じ魔術師団の人だ。
エレナ・シュレイザー(el)
「どうした、こんな時間に。」
「エレナ様、夜分遅く申し訳ありません。急遽確認していただきたいものがありまして。この資料を見終わったら他の七つの王冠の皆さんに共有して欲しいと。」
el
「皆に?…分かった、確認しよう。」
「はい、それではこれで失礼します。」
そういうとその人は行ってしまった。おそらく自分の自室に戻ったのだろう。私は受け取った資料と共に自室に入って確認する。そこには2つの重要事項が記載されてあった。1つは第三王子の騎士にガイストが選ばれたこと。後に王家内での会議で正式に採用するか決めるらしいが。それでもあのガイストが受け入れるのは予想通りだったと言うべきか予想外だったと言うべきか。
もう1つは…国の法令改善案?なぜ法令を改善しなければならないのだろう。貴族と平民の間にもうわだかまりなどないはずなのだが。
私はその資料に目を通す。すると思いもよらなかった文面がそこにあった。
“魔法付与のついたありとあらゆるものの使用を禁じる”
…もしこの案が可決されればこの国は大きく変わることになる。魔具や魔法薬といったものもおそらく対象。今この国がここまで発展したのもこれらがあってのこと。一体国の上層部は何を考えているのだろうか。
とりあえず共有しろと言われたので共有はするが、この案に関しては誰も頷きはしないだろう。この国で一体何が起こりつつあるのだろう。
To Be Continued………