あの日から、ずっと考えていた。
アメリカさんの明るさも、優しさも、全部分かっていた。
でも僕の心が静かに向かったのは──
あの、冷たいようで温かいロシアさんの眼差しだった。
放課後の屋上。
風が強くて、制服の裾が揺れる。
ロシアさんはフェンスに背を預けて、遠くを見ていた。
「ろ、ロシアさん」
呼びかけると、彼はゆっくりとこちらを振り返った。
無表情に見えるその顔に、微かに驚きが走る。
「……どうした」
「……伝えたいことがあって」
僕は一歩近づいた。
胸の奥が、怖いほど静かだ。
「僕、ロシアさんが好きです」
風が止まったような気がした。
ロシアさんは何も言わない。
ただ、僕の事を見つめて、ゆっくりと息を吐いた。
「……アメリカは?」
「アメリカさんのことも、すごく大切です。
でも……ロシアさんの前だと、言葉がなくても落ち着くんです」
その一言で、ロシアさんの目がわずかに揺れた。
次の瞬間、ロシアさんは僕を抱きしめた。
強く、けれど優しく。
僕の髪に顔を埋めて、小さく呟く。
「……もう、誰にも渡さない」
その声は低く震えていた。
でも、不思議と怖くはなかった。
むしろ、温かかった。
「僕も、ロシア君と一緒にいたいです」
そう言うと、ロシア君の指が僕の背をゆっくりと撫でた。
──夕陽が沈む。
影が長く伸びて、二人を包み込む。
誰も知らない場所で、静かに繋がれた手。
それは、誰にも壊せない約束のように確かだった。
コメント
2件
きゃあああああ!最高…最高です!!語彙力がすごい!(語彙力喪失)
投稿感謝です✨️✨️✨️ 露日エンドだぁ...!! ロシアさんの愛が重いッ...!! 場面と人の様子を書くの上手すぎません...!?!? 何食べたらこんなに上手く書けるんです...? 次回はアメ日エンドですかね?めちゃめちゃ楽しみです!!