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仁人side
勇斗『じーんと!』
とうとう旅行の日になった。
明後日からは勇斗くんとは他人になるつもりだ。
仁人「あ、勇斗くん。」
勇斗『いこっ!』
勇斗くんはすごく楽しみなのか、
にこにこで歩き出す。
ごめんね。勇斗くん。
勇斗『ディズニー着いたよ仁人!』
仁人「…すごい、綺麗。」
勇斗『仁人なんか乗りたいのある?』
仁人「んー、あ、あれ乗りたい!」
勇斗くんだからか、すごく楽しめる。
この旅行で何回笑ったか。
俺は今を最大限に楽しもうと思った。
勇斗『ね、仁人お腹空かない?』
仁人「ちょっと空いたかも」
勇斗『ここのレストランまーじ上手いからいこ!』
仁人「…笑 うん、いこう笑」
勇斗くんのはしゃぎ具合に思わず笑みが零れてしまう。
勇斗『ね、仁人。』
仁人「ん?どうしたの?勇斗くん」
勇斗『仁人なんかあった?最近浮かない顔してるよ。』
仁人「…ううん、なんもないよ?」
勇斗『…そっか。ごめんなんか!笑 食べよ』
仁人「うんっ笑」
こんな時間ももうすぐ終わりなんだろうな。
勇斗くんごめんね。
勇斗くんが辛い思いするなら離れるよ。
勇斗『はーたのしかった!』
仁人「ね、楽しかった。」
勇斗『お風呂入ってきな!明日も早いから。』
仁人「…うん。わかったありがとう」
勇斗くんはすごく優しい。
でも、その優しさが俺にはもったいない。
「ほんとにごめん…」
そんな言葉をお風呂の中で吐き出しても、
勇斗くんには届かなくて。
シャワーの音でかき消されていく。
それはまるで俺と勇斗くんの関係みたいに。
勇斗くんからの言葉を消したくなくても、
俺は消すしかできない。
勇斗『仁人おはよ!』
仁人「勇斗くんおはよう」
勇斗『準備したらレストランいこ!お腹空いたでしょ?』
仁人「うん、行く!」
今日の夜から勇斗くんとはもう関わらない。
と決めているはずなのに、少し寂しい自分がいる。
勇斗『ね、仁人?』
仁人「んどうしたの?」
勇斗『俺さ、ほぼ毎日仁人に好きって言ってるじゃん。』
仁人「…笑 うんそうだね」
勇斗『でも仁人は、振り向いてくれなさそうだし、どちらかと言えば嫌いそうだし。笑』
仁人「…え、?そんなことっ、」
勇斗『だから、今日断られたら終わりにする。』
仁人「…は、?」
勇斗『仁人、ずっとだいすきです。付き合ってくれませんか…』
勇斗くんからの言葉に驚きを隠せない。
終わりにするとか、どうして。
とか言いながらも、人の事は言えない。
告白してくれた勇斗くんの手は、小さく震えていた。
仁人「…っ、」
ここで断れば、終わる。
でも、断らなければ、終わらないけど。
俺が告白を受けない理由は、
遠い存在の君と付き合うと、周りの目が痛い。
そして、嫉妬とかヤキモチなんて、よくあること。
人気者の君は、俺なんかじゃ釣り合わない。
仁人「…どうして、俺なの?」
否定の言葉でもない、了承の言葉でもない。
疑問の言葉。
勇斗『…俺、高1のとき、仁人に助けて貰ったじゃん。』
仁人「…?高1のとき?」
勇斗『俺のポストの中に紙が入ってて。』
仁人「…あ、そうだね。」
勇斗『その時に、ハグしてくれたのが忘れられなくて。俺はその身体の温かさに助けられた。』
勇斗『だから俺は仁人がいい。』
俺は、言葉が出なかった。
嬉しいし、俺も一緒に居たいと思った。
でも、OKをすれば、恋人の関係になる。
そして、離れることが出来なくなる。
仁人「…少し、待ってて欲しい。」
俺はその場で決断することが出来なかった。
勇斗『…それは、チャンスがあるということ?』
勇斗くんにそんな言葉をかけられて考えてみると、俺の生活の中には勇斗くんばかり。
俺だって勇斗くんに助けられたことばっかり。
勇斗くんの居ない生活は寂しく感じる。
それは、チャンスがあるということなのかな。
仁人「…うん。あるよ。」
勇斗くんに悲しい思いをしてほしくない。
俺は少し勇斗くんのことが気になってるのに、勇斗くんを突き放すような言葉は似合わない。
勇斗『…まじ、っ?』
仁人「…まじ。」
勇斗『…まってるから。いつまでも。』
仁人「……うん。」
この約束は、果たすことができるのかな。
勇斗くんから離れるということが、俺にはできるのかな。
勇斗『昨日と今日はありがとう。』
仁人「こちらこそ、楽しかった。」
勇斗『返事、まってるから。ずっと』
仁人「……うん、」
勇斗『またね』
仁人「じゃあね。」
俺は、またねとは言えなかった。
同じクラスで同じ学校だから、会わないことはできない。
でも、距離をとることは出来る。
距離をとるという選択を取ることにした。