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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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「ねぇ、一緒にお昼食べよ!」

新しいクラスメイトの一人に誘われた。

「う、うん!た、食べよ!」

言葉に詰まりつつも言った。


その子とは学校の休憩スペースみたいな所で売店で買った弁当を食べる事にした。

「私の名前は野中華連のなかかれんって言うの。」

「私は…山水凛。」

「ほう。良い名前じゃん!めっちゃ可愛い!」

話している感じだと、すぐに仲良くなれそうだった。



夜、先生が帰って来た。

早速「どう?仲良くなれそうな人、居た?」と聞いてきた。

「うん!良い感じの人と話したし、昼も食べた!」

「お〜!良かった良かった。」と先生は返した。


「どう?あの担任は…」

「う〜ん…。そこはちょっと怪しげだなぁ…」と返す。

確かに今日、担任の七浦先生は、教科書を忘れた男子にこっ酷く怒っており、連帯責任としてみんなで掃除をしなければならなかった。

入学したてなのに…と私は凄く不安になっていた。

先生にそのことを話すと、「うん…それはちょっと…ね…」と言われた。

「まぁ、とにかく何かあったら僕に相談していいですからね。ちゃんと凛さんの話、聞いてあげるから」と。

『 さすが白河先生だ!』と思った。

そういう時に一番頼りたい人だ。

何でもきちんと聞いてくれそうだし、とにかく怒ったり、反発がないのが素敵。

それだけでもスッキリする。



5月の終わり頃。

私はやはり内気だからか、友達の華連ちゃんは、たまにしか話しかけてくれなくなった。

というか…他の友達と話している。

いつの間にか、私はお昼も、休み時間も…

1人で過ごしている。

『やっぱり内気の人見知りだからだ…』と自分を責め続けた。

白河先生にも、勿論相談した。

うんうんと頷いて、静かに聞いてくれる。

「うん…。寂しいよね…。休みたいときは休んでもいいからね。」というのが白河先生のアドバイスだった。

普通は、「他の友達と仲良くしたら。」とか「性格を直しなさい。」というのが一般的だと思う。

しかし、先生は違う。

本当に優しい。素敵な私の味方。


その週の金曜日、

とうとう休むことにした。

白河先生が学校のホームページから欠席連絡を入れてくれた。

「これで大丈夫。ゆっくり休んでね。」と先生は言い、玄関を開けた。

私が手を振ると、先生も優しい笑顔で頷いて振り返してくれた。


私は家でゆっくりと過ごした。

ベランダを開け、外の爽やかな春の風を感じながら朝ご飯を食べたり、少し散歩したりした。



先生が帰って来てからは、夜景を見に連れて行ってくれた。

「凛さん…」

「なに? 」

「これからも大変な事や、辛い事も沢山あるけれど、その時は今日みたいに僕に頼っていいからね。これは、僕と凛さんの永遠の約束だから。」

                   

そう先生は言うと、私に小指を出してきた。

私はその指に自分の小指を絡ませた。

街明かりと空の星と月が私たちを照らしている…

そう、感じた。                  

                      

その後はスーパーでお弁当を買って車の中で食べた。

先生が学校であった面白い話などを沢山聞かせてくれたので、少し笑顔になった。 

土日には、もちろんお出かけした。

先生も私と同じようで、お出かけ大好きなアウトドア派みたいだった。


私はその後、学校には行ったり行かなかったりと不登校気味になった。            

しかし白河先生は何も私を責めたりはせず、いつも通りに優しく笑顔で接してくれた。 

それが、私にとっては、ただただ素直に嬉しかった。





その2週間後、高校の担任の七浦先生に三者面談をさせて欲しいという電話が白河先生にあったらしい。


先生は断り続けたらしいが、中々意見が通らず、無理矢理やることになったらしい。

私は勿論行きたくなくて、駄々をこねてしまった。

白河先生は、「何かあったら守るからね。」と言ってくれたけど…。




三者面談の日

白河先生は、放課後に中学校を抜け出して来てくれた。


学校へ行くと、七浦先生は教室前で待ってくださっていた。

「どうぞ。お待ちしておりました〜!」と明るく言う七浦先生に少しイライラした。

白河先生は「あっ…はい…」と暗く答えた。


話は勿論予想していた通り、私の単位の事や、休み過ぎているという話だった。


言い方も、七浦先生の場合は妙にニヤニヤしながら不穏な笑みを浮かべて話しており、さらに 言い方が明るく、私たちを小馬鹿にしているように聞こえてしまい、嫌な空気というか先生自体を生理的に受け付けなかった。


白河先生は、机の下で、そっと手を繋いでくれた。


そんな事も知らず、七浦先生は自分の言いたいことをマシンガンのようにダラダラと言う。

こっちが意見を言おうとしても、聞こえないのかわざとなのか、遮って話し続ける。


そして、とうとう白河先生の怒りが頂点に達した。

「いい加減やめて下さい!!」

とこれまでに聞いたことがないくらいの大声を出し怒っていた。

「もういいです。帰ります。」と白河先生は言い、私の手を引っ張り教室を出た。


      




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コメント

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献身的な先生には、なにか裏があるのかも…、主人公が抱えているものは何だろう…と考えさせられるストーリーですね。思わずどんどん読んでしまいます。2人の行く末が気になります👀

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