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☆☆彡.。
自分の両親を平然と殺した僕が言っても説得力がないけれど、むやみやたらに人を殺めることをしてはいけない。だからこそ、自分の中でルールを作った。
まず手をかける人間は、悪人をターゲットにする。その人物を徹底的に調べあげて、悪人だと判断したら、誰にも見つからない場所にて、自分のしていることの痕跡を残さないように、躊躇なく殺める。
万が一、その現場を見られたときは、善人でも手をかける。
ラクダに跨り、まったりと移動しながら、いろいろ考えた。残りあと998名の命を手にかけることや、どれくらいの時間がかかるのかを計算しただけで、頭が痛くなった。
「まずは、行く先々の地域の果物屋に顔を出して、旬の果物を選んでジュースの試作も作らなきゃいけないな」
やることの多さもさることながら、ちんたらしていたら、自分の命がチョーカーの石にとられる可能性があるかもしれない恐怖に、体をぶるりと震わせた。
手際よく、それぞれをこなさなければならなかったが、そのことに集中すれば余計なことを考えずに済むことに気づき、そこから集中力が増した。
それと幼い頃から、客商売を生業としていたおかげで、どこの土地に行ってもすんなりと馴染めることができた。僕を虐げてきた両親の教育の賜物だけれど、礼を言わなければならない彼らは、もうこの世にはいない。
ちょっとした楽しみは、自分の知らない果物を手にしたときと、ジュースの試作品を手がけるときだった。このわくわくとドキドキは、僕の生きる糧になった。
表家業では明るく人と接しつつ、情報を集めながら、ターゲットを選出していく毎日は刺激がいっぱいで、余計なことを考えずに済んだ。
ひとつの土地に居続ける限度を、長くても1ヶ月に決めて、両方の仕事をうまくまわしていったのだった。