テラーノベル
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気まずい沈黙を破った、康二たちの容赦ないツッコミ。その中心で渡辺翔太は、もはや羞恥心の限界を超えていた。
「ちげーよ!」と叫びながらも、その顔はトマトのように真っ赤に染まっている。
そのあまりにも分かりやすい“デレ”の表情に、深澤と佐久間がさらに追い討ちをかけた。
🩷うっわぁ!しょっぴー可愛い〜!
💜ひさびさだな!そのデレ顔!写真撮っとこ!
スマホを向けられ渡辺は、ついにぷつりと何かが切れた。
彼は隣に立つ、唯一の救世主…いや、全ての元凶である男の服の裾を、ぎゅっと強く握りしめた。
💙…涼太…
その声は完全に、助けを求める子供のそれだった。
❤️ん?
宮舘が、優雅に振り返る。
💙…助けて…。この人たち嫌い…
その上目遣いでの懇願。
宮舘は心得たとばかりに、にっこりと微笑むと、渡辺の頭を優しく撫でた。
❤️はいはい。そーだね〜翔太姫
そのパワーワードに、野次馬たちが再び食いついた。
🩷姫って言った!?今、姫って言った!?
🧡言った言った!!国王が姫って言ったぞー!
康二と佐久間が手を叩いて大喜びしている。
もう収集がつかない。
宮舘はやれやれ、と肩をすくめると他のメンバーに向かって静かに、しかしはっきりと宣告した。
❤️悪いけど翔太、もう限界みたいだから
そして渡辺の腰を、そっと自分の方へ引き寄せる。
❤️…連れて帰っていいかな?
そのあまりにもスマートな“お持ち帰り”宣言。
それに、深澤がニヤニヤしながら大きく手を振った。
💜いいよ!!全然いい!!後のことは、俺らに任せとけ!
💙やだもん!勝手に決めないで!
渡辺は口ではそう抵抗しながらも、その体は完全に宮舘に預けられていた。
それどころか宮舘の腕を、さらに自分の方へきゅっと、強く引っ張っている。
その矛盾した行動を、宮舘が見逃すはずもなかった。
❤️…本当に…いやなんだ?
わざとらしく、意地悪な笑みを浮かべて耳元で囁く。
その問いに、もう強がることはできなかった。
俯いて顔を真っ赤にしながら、蚊の鳴くような声で呟く。
💙…やだ…。一緒がいい…
その完璧なツンデレの着地点に、楽屋のボルテージは最高潮に達した。
「「「ひゅーひゅー!!楽しめよ〜!!」」」
メンバーからの盛大な祝福(という名の野次)が、シャワーのように降り注ぐ。
その声援をBGMに、宮舘は満足そうに素直じゃない姫君をエスコートしていく。
💜可愛いよなぁ、ほんと
深澤がその背中を見送りながら、しみじみと呟いたその時だった。
🧡…あ、俺次の仕事の入り時間、やばいかも
🩷うわ!やべぇ!!俺もじゃん!!
佐久間と康二が、慌てて時計を確認する。
祭りは終わりだ。
🩷じゃあな〜!翔太姫!いいもん見れたわ!!
🧡舘様もほどほどになー!
嵐のようにそれぞれが、捨て台詞を残していく。
あっという間に楽屋は、静けさを取り戻した。
ほんの数分前までの喧騒が嘘のように。
でもそこにはどうしようもなく温かくて、幸せな空気が満ちていた。
コメント
4件
本当にありがとう こんな素敵な作品を見せてくれて