テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
重いかな。重いよな。自覚があるだけにその後は何も言えなくて、蓮の首にしがみついたままじっと蓮の言葉を待つ。
しぱらく続いた沈黙に、やっぱり引かれたよなぁって思う。
どう誤魔化そうって考えてると、急に身体を引き剥がされた。
真正面から見つめてくる蓮の目は真剣で。
あれ? 口が少し尖ってて、ちょっと拗ねた顔してる? 何で??
「…ずるい」
「へ? な、何が?」
「こんな不意討ちでプロポーズしてくるとか、ずるい。というか、俺が言いたかった!」
「ぷ、ぷぷぷぷろぽーず!? え、俺いつした?!」
「今。さっき。したじゃん」
ますます拗ねた顔をする蓮。
プロポーズとかそんなことした覚えなくて、慌ててさっき言ったことを思い返して、固まった。
したわ。してるわプロポーズ。
『人生丸ごと欲しい』とか、プロポーズでしかないじゃん!!
「…ごめん、言ったわ…自覚ないままプロポーズしてたわ…」
「自覚なしで言ってたの? 天然たらし過ぎない?!」
「ごめんて…そうだよな、あれプロポーズじゃん…うわ思い出したら恥ずかしい無理」
天然たらしが引っかかるけど、自分の発言を思い出してそれどころじゃない。
真っ赤に染まっていく顔を両手で隠しながら下を向いた。
「自覚なくプロポーズして、それに気付いたら真っ赤になるとか。何なのそれ可愛い」
ふはっと笑い出した蓮の手が、優しく俺の手を顔から離す。そのまま両頬を手で包み込んでゆっくりと顔を上げさせてきた。
一連の動作があんまりに優しすぎるから、抵抗も出来ずに蓮と向き合う。
その表情も蕩けそうなくらい優しくて、更に頬が熱くなった。
「耳まで真っ赤。ほんと可愛い」
「か、可愛くない。俺はかっこいいんだ」
「うん、そうだね。プロポーズの言葉もかっこよかった。気付いてれば、だけど」
「も、勘弁しろよ…蓮のばかぁ」
赤い顔で涙目になってる俺の瞼に、蓮の唇がちゅっと触れる。「ごめん、いじめ過ぎたね」と言って笑う蓮の顔は砂糖菓子くらい甘い。
「じゃあ、返事の代わりに俺がプロポーズやり直していい?」
「や、やり直し? プロポーズの??」
プロポーズやり直すとか、あんまり聞いたことないけど。てゆーか、そもそも俺はプロポーズした覚えもないからそれ以前の問題か。
蓮が俺の頬から手を離して居ずまいを正した。俺も釣られて背筋が伸びる。
今プロポーズやり直すって、言ったよね?
俺、これからプロポーズされるの…?
蓮の顔が真剣になるのに合わせて、自分の鼓動が早くなっていくのが分かる。
「…佐久間大介さん」
「は、はいっ」
「俺とこの先、ずっと一緒に生きてください。俺の人生丸ごと欲しいって言ってくれたから、全部あげる。だから、佐久間くんの人生は俺にください。ずっと、一緒にいよう?」
かっこいい返事したかったけど。
胸がいっぱいで、咄嗟に言葉が出て来なくて。返事の代わりに蓮の首に腕を回してぎゅうっと抱きついた。
ふふっと笑いながら、蓮の手が優しく俺の背中をとんとん叩く。
「…蓮に、あげる。俺の全部何もかも。もうとっくに、全部蓮のものだよ」
「ん、ありがとう。俺も、もらってくれる?」
「うん、いる。全部欲しい。全部俺の」
自分がこんなに欲張りだなんて思わなかった。
ほんのちょっと前までは蓮からもらった『契約恋人』の記憶だけで生きていこうと思ってたのに。
今はもう、蓮の全部が欲しい。蓮に俺の全部を受け取って欲しい。
でも蓮もそう望んでくれるなら、これ以上の幸せなんてない。
「好き、蓮。大好き」
「俺も好き。愛してるよ、大介」
急な名前呼びにびっくりしてると、「結婚するなら下の名前で呼ぶでしょ」と何でもないことみたいに言われた。
でもちょっとだけ目元が赤いのに気が付いて、愛しさが込み上げる。
蓮が可愛い。
ちゅっと目元にキスを落として、またしがみつきながら頬をすり寄せた。
「それでさ、大介」
「うん、何? …って、うわ」
首に俺がしがみついたままの態勢で抱きかかえて、蓮が立ち上がる。お姫様抱っこじゃなく、子どもみたいな縦抱っこ。
ちょ、これ恥ずかしい。
「結婚するなら一緒に暮らしたいし、お互いの同居家族のこととか、決めることたくさんあるんだけど」
「うん、そうだな」
「それは一緒に考えていくとして、今日のところはもう一回寝室行かない?」
「…へ?」
「『契約恋人』じゃない、本物の恋人…いや、プロポーズ受けてくれたからそれも違うか。『婚約者』になった大介を抱きたい。いっぱい可愛がりたい」
こんな台詞、どんな顔して言ってるんだよって思うだろ。
ちらっと蓮の顔を覗き込むと、砂糖菓子に蜂蜜かけたみたいな甘い甘い蕩けそうな顔。
こんな顔でそんなこと言われたら、もう頷くしかないじゃん。
「…うん、俺も蓮が欲しい。このまま連れてって」
自分じゃどんな顔でそう答えたか分からないけど。
俺をじっと見つめてた蓮が、頬を少し赤らめてそれはそれは幸せそうに笑ったから。何かもう、俺の恥ずかしさとかどうでもいいかな。
セックスの前にしては可愛らしいキスをちゅっと交わして。幸せそうな笑顔の蓮が、やっぱり幸せそうな俺を連れて寝室へと消えていった。
コメント
4件
素敵過ぎる✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。 気付かないでプロポーズしちゃうさっくんも、先越されて拗ねるめめも可愛すぎる!! 全部欲しい欲張りな2人が永遠に幸せでありますように(*˘︶˘人)♡*。+
