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ごちゃまぜ自分用(笑)

8 - 五条彼女 五条男友達にブチギレ②

2025年06月07日

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あれから――もう、何日が経っただろう。
喧嘩のあと、彼女とは一度も会っていない。

連絡もない。俺からもしない。


怒ったのは、確かに俺だ。

感情をぶつけて、背中を向けたのは俺だ。


でも、心の中は、ずっと重たいまま。


「……はあ」


五条悟は、自宅のソファに寝転びながら深いため息をついた。

誰もいない空間が、静かで、でもうるさかった。


テレビの音も、外の車の音も、なんの慰めにもならない。


スマホの画面をぼんやり眺めては、名前も押せないまま閉じる。

あのときの彼女の顔が、ずっと脳裏に残ってる。


驚いて、慌てて、言い訳しようとして、それでも俺の怒りには追いつけなかった顔。


「……違うってわかってたのに」


本当は信じてた。

でも、あのときは「信じる」という選択をする余裕がなかった。


妬み、怒り、期待の裏切り。

ぐちゃぐちゃになった感情に、彼女の言葉がどんなに届いても、うまく受け止められなかった。


『今は、君に触られたくない』


あんな言葉、言うべきじゃなかった。


彼女の顔が浮かぶたびに、心臓がチクリと痛む。

恋しさと後悔が、ずっと頭の中をぐるぐる回って離れない。



数週間後。

予想外の再会は、共通の知人の送別会だった。


「あっ……」


会場に入った瞬間、彼女の姿が見えた。

悟の時間が止まる。


変わらない笑顔。けれど、どこか目の奥に疲れが見えた。


気づけば視線が合っていた。


彼女も、ほんの一瞬だけ目を見開いたあと、視線を逸らした。


その動きが、胸に突き刺さる。


「……飲むか」


その場にいた同僚に酒を注がれ、無理やり口をつける。

味なんてわからない。酔える気もしない。


彼女の隣に近づくこともできず、離れることもできず、ずっともどかしい距離を保ったまま時間だけが過ぎていく。


――そして、二次会が終わる頃。


帰り支度をしている彼女に、つい声が出た。


「……ねぇ」


彼女が、ぴくりと肩を揺らして振り向く。


「ちょっとだけ、話せない?」


周囲の視線も感じる中で、彼女は少し躊躇ってから、ゆっくり頷いた。



夜の公園。

人気のないベンチに座って、しばらく沈黙。


悟が先に口を開いた。


「……あのとき、悪かった」


彼女は、何も言わない。


「ちゃんと聞けばよかったのに、頭に血がのぼって……君の言葉、全部跳ね返してしまった」


まだ返事はない。

でも、去ろうともしない。


「怒ったくせに、結局、ずっと考えてたよ。君のことばっかり」


「……私だって、言い方もっとあったと思ってる。……でも、こわかったよ。悟があんなに冷たい顔するなんて思わなくて」


「……うん」


「『触らないで』って、あれ、冗談でもなんでもないんだもん。……泣いたよ。帰ってから、すごく泣いた」


その言葉に、悟の胸が締めつけられた。


「……最低だった、僕」


「うん、ちょっとね」


ふっと彼女が笑う。


その笑顔に、悟はもう限界だった。


「……もう一度、やり直せない?」


彼女の目が揺れる。


「また、あんなふうに怒るかもしれない。余裕なくなって、拗ねたり、嫉妬したり……ほんとに、面倒な男だけど」


「……でも?」


「それでも、君じゃなきゃ嫌なんだよ」


悟はゆっくりと手を伸ばした。

触れるか、触れないか、迷うように――彼女の指先に、自分の指を重ねた。


彼女も、そっと握り返してくる。


「……じゃあ、もう浮気疑わないでよ?」


「絶対しない」


「あと、拗ねたらちゃんと理由言って?」


「頑張る」


「甘やかしてくれる?」


「もちろん」


「……うん。許してあげる」


静かに、優しく笑う彼女を見て、悟の胸がじんわりと温かくなった。


ああ、やっと――会えた。


「……会いたかった」


彼女は、ただ一言だけ。


「知ってたよ」


そう言って、悟の胸に顔を埋めた。


夜風がそっと二人を包んでいた。

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