テラーノベル
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手に持っていた刃物。
眼の前にはあの女性が居た。
痛い痛い。
あれれ、血が出てくる。
きれいなあかいろ、てつみたいなあじ。
うるさいのうるさいようるさいな。
そんなに泣かないで、今楽にしてあげるから。
声が止んだ、止まった止まった。
でも血はまだ流れてる。
お腹の中はいろんな形のぐちゃぐちゃしたものでいっぱい。
白っぽい硬いのを何本か折って身体中に刺してあげた。
綺麗な眼をくり抜いて口に含んだ。味はしなかった。
裂けてる胸部を少しだけ齧った。鉄の棒を舐めてるみたい。
ガムみたいに少しグニョグニョするから面白い。
でも美味しくはない。
彼女の手は綺麗だった、爪が刺さるので剥がしておかなきゃ。
長い髪の毛を針に通して何箇所か縫ってみた。
皮膚を貫通する度に血が滲み出てくる。
足の指をちぎってみるとまるで歯を抜いた後のような気分になった。
ナイフでゆっくり絵を描いた。
腕、脚、首に赤い線で少しずつ描いたその絵は直線ばかり。
このままだと腐っちゃうな、冷凍してまた後から続きを描こうかな。
小さな刃物でも充分凶器にできる。
斬り裂くのは腹か、背中か。
汚い人を綺麗な絵にする。
なんて素晴らしい無駄な事。
正気なわけが無く、手先は紅く染まっている。
二度と忘れられない人間の味。
すごく不味い。
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