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「五億回の動きの向こうに。 」
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寝たふり、ついに終了!?
翔が放った第一声は“病室が爆笑”の引き金に。
泣いて笑って、病気さえもネタに変える――幼馴染コンビ、再会の夜が始まる!
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翔編 第四話「寝たふり終了のお知らせ」
病室の空気は、妙に重たかった。
隣から聞こえてきた幼馴染の小さな声。
「……翔ちゃんも、病気と闘ってるんだね」
心臓にグサッときた。
けど同時に――思った。
(……俺、いつまで寝たふりしとんねん)
ここで黙ってたら、kamomeの顔を見られん。
それに――このままやと、マジで俺ただの寝すぎ人間や。
よし、決めた。
ここらでド派手に寝たふり終了や。
俺はゆっくりと目を開けて、天井を見上げながら口を開いた。
「……なあ、かもめん」
「!?」
びくっと肩を震わせて、振り向くかもめん。
その顔は心配と涙でぐちゃぐちゃ……やったんやけど――。
「お前なぁ、人の寝顔じーーーっと見すぎや。
俺、寝てる間にイケメンすぎて惚れられたらどないすんねん」
「……はぁ!?!?」
kamomeがぽかんと口を開けたあと、真っ赤になった。
――次の瞬間。
「いやいやいや!寝たふりしてたの!?人が真剣に……!バカッ!!」
頭にクッションが飛んできた。
ふわっと顔に当たって、俺は思わず笑い声を漏らす。
「アハハッ!当たった!これ、懐かしすぎやろ!小学校のときから変わってへんやん!」
「笑いごとじゃない!!」
顔を真っ赤にしたかもめんが、今にも泣きそうで怒ってる。
でも……俺は気づいてしまった。
その顔が、昔とぜんっぜん変わってへんことに。
「……あー、安心したわ」
ぽろっと出た俺の本音に、kamomeは瞬きを繰り返す。
「な、何がだよ」
「病気とか関係なく……お前、隣におるだけで昔みたいにアホみたいに喧嘩できるんやなって」
「……アホは余計!」
またクッションが飛んでくる。
けどその小さな力に、俺は心から救われていた。
――病室に響いた笑い声は、重苦しかった空気を、少しずつ軽くしていった。
そこで俺は思った。
やっぱり…偶然のはずの“隣のベッド”は、ただの偶然で終わる気がしない――。
第4話はここまで!
見てくれてありがとうございました!