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「五億回の動きの向こうに。」
幼馴染ふたり、同じ病室で笑い合う。
けれど――偶然の再会は本当に「偶然」なのか?
笑いの裏に忍び寄る影、すべてを仕組んだ“何か”の気配。
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翔編 第五話「笑いの最中に」
病室に笑い声が響いてから、しばらく。
俺とkamomeは、小さい頃に戻ったみたいにふざけあってた。
クッション投げ、しょうもない口喧嘩、声を押し殺して笑って――。
(……まさか病院で、こんな風に笑える日が来るなんてな)
正直、病気のことを知ったときは怖かった。
自分の身体が、勝手に壊れていく感じ。
腎臓病って、痛みとか派手な症状が出にくいぶん、余計に実感が薄くて――でも検査結果は残酷で。
(俺、これからどうなんのやろって……)
でも。
今こうして、隣で「バカッ!」ってクッション投げてくる幼馴染がいる。
それだけで、不安は少しだけ遠のいていった。
「なぁ、かもめん」
「ん?」
「お前も……病気なんやろ?」
「……っ」
一瞬、目をそらした。
やっぱりそうやった。
俺が寝たふりしてる間に、こいつは小さな声で“俺と同じや”って呟いてた。
「言いたくないならええよ。ただ……」
「……ただ?」
「隠すなや。俺ら幼馴染やんか。どっちも病気で弱ってんのに、見栄張ってもしゃあないやろ」
「…………俺のこと、心配する前に、自分のこと心配しろよ」
声が少し震えてた。
その言い方が、昔からなんも変わらんかもめんすぎて――胸がぎゅっとなった。
(やっぱりこいつ……無理してる)
「大丈夫や」
「何が大丈夫なんだよ」
「俺もお前も、弱っちい身体になったけど……二人そろったら無敵や」
「……意味わかんねぇ」
ふっと笑った顔。
けど、その奥に潜む不安は消えてなかった。
その時――病室のドアが、コツンと小さく揺れた。
看護師でも医者でもない、妙な気配。
「……今、誰か覗いてなかったか?」
「え?……気のせいじゃない?」
けど、俺は見逃さなかった。
ドアの隙間から、黒い影がすっと消えていくのを。
偶然――ほんまにそうか?
だって、よりによって“隣のベッド”が空いてて、そこに俺とkamomeが並んで入院してるなんて。
出来すぎやろ。
(やっぱり……誰かが仕組んだんか?)
「なぁ、かもめん」
「ん?」
「俺ら……なんで隣同士なんやろな」
笑いを交わしたはずの病室が、急にひんやりと静まり返った。
「……う〜ん…なんでだろ。」
胸の奥に、得体の知れないざわめきが広がっていく。
笑いながら泣ける夜が、ほんまの意味で“奇妙な始まり”やったんかもしれん――。
ここで終わりんごでぇ〜す!
読んで下さり、ありがとうございました。
いや…私も…作りながら思いました…。隣のベットのこと、ちょっと言い過ぎですねウフフ
まあ、これからも言うかもなんですけど…。きっと面白いはずです!うん!きっとそうだよ!
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