第2話

なんて、くだらない過去の話は置いておく。

今になってわかる。

あんな神な人と同じ舞台に立つ？

そんなのはくだらない妄想だ。

できるはずのない、現実的ではない夢物語。

俺は今、ズボンの女子中学生。

髪は短く切り、見ても女と気づかない。

「え、女の子、ですよね？」

そうやって男の子に見えるのが嬉しい気がしている。

実の所、俺は自分の感情がわかっていない。

本当に男になりたいのか、今、どう思っているのか。

俺は夢のために努力してきた。

紙にくだらない物語を書いたり、考えたり。

そのせいか自分の感情に物語を作っている気がするんだ。

本当の感情では無い気がして、でも本当の感情かもしれないとも思う。

そのズレが俺を苦しませているんだろう。

今日も紙に絵や物語を書く。

創造的表現に惹かれて、上手くいかない。

そんなくだらない毎日。

すとぷりの事務所、STPRは男性アイドル専門の事務所。

女の俺には無理なんだ。

だけど入りたい。

そんな、夢のための理由に性同一性障害を使っている気がしてしまう。

虐められている訳でも、虐待されている訳でもない、ただの心の問題。

俺は弱い人間だなぁw

そう思う。

何故か学校に行きたくなくて、唐突に生きるのが怖くなって、メディアから抜け出せなくなっていた。

何も、やる気が起きなかった。

いきなり涙が出てくる日もあった。

鼻血が止まらなくて、一日中部屋にこもった日もあった。

何故か、生きている感覚がなかった。

でも、誰かが俺を評価してくれると

「あぁ、俺って生きてるんだな」

って感じる。

承認欲求の塊みたいな俺を、誰かは愛してくれるのだろうか。

誰かの生きる希望になれているのだろうか。

俺は活動者を目指し、お金を貯めている。

ゲーミンクPCが欲しいんだ。

編集もしやすくなるし、動画投稿も格段にしやすくなるだろう。

まだ15万。

あと2倍は貯めなければ。

何も、俺には才能がない。

無いなりに、努力はできる。

でも、才能がなかったら、そこそこまでしか行かないんだ。

天才には届かなくて、俺が憧れているのは光の部分で、そしてひと握りの人達で、才能がある人達で。

顔も声も全部が駄目な俺に取り柄は無い。

なんでそんなんで歌い手目指してんだろ（笑）

母に相談すればいいと思うかもしれない。

いや、無理だよ？

母は歌い手嫌いだし、安定して稼げないし。

とりあえず親の望む職ではないな。

それに、性同一性障害かも、なんて相談出来るわけない。

信頼できないんだもん。

怖いんだよ、嫌われるの。

俺は完璧主義者なんだ。

常に完璧を求められている気がしてしまう。

だから完璧に見せたくて嘘をつく。

人前では弱音を吐かず、ひとりで壊れる。

なんか、馬鹿みたいだなぁ（笑）