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ナリア「呆れた……テロリストになってたのね」
アモン「お前こそ冒険者とかいう惨めなことやってんだな」
ロイス「クラスメートってなんだ?」
カズヤ「まぁ、知り合いみたいなものだよ」
ナリアとアモンの間で火花が散ってる
結構険悪ムードになってるな。ロイスには知り合いって言っとけばいいか
なんか詳細なこと言うと油注ぐことになりそう
ケール「知り合いにしては結構仲悪そうだね」
カズヤ「そこ触れない方が良いと思うよ……」
相変わらずモラルねぇー
見りゃ分かるでしょ!!関係性に触れたら油注ぐって
でも災いの騎士の幹部だし敵である冒険者やってたら仲悪いの当然か
アモン「当たり前だろ。敵だぞ?仲良しこよしやってるわけねぇだろ」
ナリア「なんで災いの騎士なんかに入ったのよ」
アモン「転移者である俺等には強大な力がある。こんな世界で生き残るなら与えられた力を使うしかねぇだろ」
生き残るための策がテロリストになることか
異世界をこんな世界とか言ってるし、相当転移を恨んでるみたいだな
ナリア「わざわざ災いの騎士に入らなくても力を使う方法なんて色々あるでしょ」
アモン「ここしかない。すぐに俺のことを認めてくれた。居場所を失った俺にとってここは家も同然だ」
アモン「それにここにいればこの腐った世界も壊される。一石二鳥じゃねぇか」
ナリア「私が知ってるアモンじゃない……」
ナリアは変わり果てたアモンにドン引きしている
いきなりクラス転移で異世界に呼ばれ、裁きを受けて死にかけて居場所を求めた末災いの騎士を選んだ
誰かが手を差し伸べればこいつがテロリストなんかにはならなかったのか
最悪なめぐり合わせの結果になってしまったということか
アモン「なんとでも言え。俺は俺の生き方を貫くと決めた」
ナリア「それはさせない」
アモン「クラスメートとしてか?」
ナリア「いや、テロリストのあんたなんかをクラスメートだとは思わない」
アモン「じゃあ何だよ?」
ナリア「もう災いの騎士のせいで人は死ぬのはみたくない」
ナリアの言葉で俺の頭にヴィネやウルトルさんが連想された
俺も災いの騎士のせいで人が死ぬのは見たくない
ナリアのクラスメートだから止めるのではない
アモン「そうか。そんな奴らのために戦うのか」
ナリア「……!!そんな奴ら……??」
ナリアがアモンの言葉で表情を豹変させた
俺もナリア程では無いが怒りの感情が顔に出た
お前たちのせいで死んだ人たちのことをそんな奴らだと冒涜も良いところだ
アモン「革命に犠牲は付き物だ。犠牲になった奴らを哀悼するんじゃなくて尊べよ」
ナリア「…………」
ナリアはアモンの言葉に顔を伏せた
こいつは正気か⁉
アモン「犠牲になった奴らも革命のために死ねて喜んでるだろうな。どうせ大したことはしないんだ。世界のために犠牲になった方がましだろ?」
ナリア「人までやめたの……!⁉大したことはしないって……あんたが言うんじゃないわよ!!!!」
アモン「ムキになんなよ。ガキか?」
ナリアの声色が怒りと殺意に染まっている
こんなに人を殺したいって思ったのは二度目だ
災いの騎士はクズばっかだ
犠牲を美化して自分たちの行いを正当化する
どこまで死者を冒涜する気だ……!!?
ナリア「人の形をしたゴミになんか言われたくないわよ……!!」
アモン「ひでぇな。まぁどうせ殺すし気にする必要はねぇか」
アモンはそう言うと頭をポリポリと書いた
本当になんとも思ってないのか
こんなやつが現実世界にいたんだな。いや、こっちに来ておかしくなったのか
でも、ここまでだったら元々難はあっただろ
アモン「せっかく出会った記念の日だが死んでくれ」
ナリア「何が記念よ……!!ふざけるのもいい加減にして……!!」
アモン「ふざけてなんかいねぇよ。本心だ」
ナリア「そう……尚更たちが悪いわ」
ナリア「死んで」
ナリアは冷たく言い放つと殺意のこもった視線をアモンに向けた
アモンはナリアの眼を見て小さく笑った
その笑顔が気色悪かった。見てるだけで吐き気がする
アモン「火魔法・火柱」
ナリア「雷魔法・断裂雷」
アモンが魔法を唱えると火の柱が俺たちの下から轟音を立てて燃え立つ
とっさに避けてナリアが反撃に出た。ナリアが魔法を唱えると雷が無数に枝分かれしながらアモンに伸びていく
アモン「火魔法・火炎の息吹」
アモンは迫ってくる雷に動じず魔法を唱える
火炎放射が雷を全て飲み込み、消えることなく俺たちに迫ってくる
ロイス「来てるぞ!!」
カズヤ「収納!!」
俺は火炎放射を収納魔法に収納した
さっきは急すぎて避けるので精一杯だったけど今度は余裕があった
どこかで使えるかもしれない
ロイス「カズヤ、ナイス!!」
ナリア「ありがと!!」
アモン「収納魔法か……」
アモンは眉をひそめた
同じ技は通用しない。逆に自分に返ってくるかもしれない
そう考えるはずだ
ナリア「風魔法・断空の刃!!」
アモン「火魔法・火の巣」
ナリアが魔法を唱えると風の斬撃が空間を断ち切る勢いでアモンに向かっていく
アモンは火で出来た蜘蛛の巣のような糸を自分の前に構築した
風の斬撃は蜘蛛の巣にあたると跡形も無く消滅した
すげぇ硬度だ!!斬撃が全く効いてない!!
ケール「体術強化・超力斬!!!!」
ケール「嘘!?硬すぎる!!」
アモン「そんなお粗末な攻撃でこの糸が切れると思ってるのか?」
ケールがアモンに向かって全速力で走り出し糸めがけて剣を振り降りした
ケールの渾身の一撃を持ってしても糸はビクともしなかった
なんだあの硬度!!?ケールの攻撃は決してお粗末なんかでは無かった
ケール「ガッ……!!!!」
アモン「火魔法・朱剣山」
アモンはケールの剣を掴み上にあげるとガラ空きとなった胴体に膝蹴りを喰らわせた
ケールは蹴られた衝撃でかがみ込むような姿勢になる
アモンはすかさずケールを空へ投げつけ何も出来ない状態にするとケールが落下する地面に火の剣山を作り出した
マズイ!!このままだとケールが串刺しになる!!
アモン「まずは一人」
カズヤ「水魔法・水の手!!」
俺は水の手を魔法で生み出すと落下するケールを掴みこちらに引き寄せる
間一髪のところで助かった。あと数秒遅れていたら串刺しだった
アモン「チッ……」
ケール「ありがとう……」
カズヤ「ケール行ける?」
ケール「もう大丈夫。戦える」
ケールに目立った怪我は無いみたいだ
まだ4人で戦える。数的優位はこちらにある
1人1人確実に殺られる前に倒さないと
アモン「火魔法・火の巣」
アモンは再び火の糸で出来た蜘蛛の巣を自分の前に構築した
あの糸が厄介過ぎる。どうやったら切れるだろうか
ナリア「息を合わせましょう」
カズヤ「わかった」
ケール「どうやって?あの糸硬すぎて切れないよ」
ナリア「あの糸が消えたら……って言ってもこちらが攻撃しないと消さないわね」
ケール「かといって攻撃しなかったら一方的に攻撃されるだけだし」
結構詰んでるな。あの糸を攻略しない限り、勝ち目は無い
どうやって……いや待てよ。ワンチャンあるかもしれないぞ
硬いなら弱らせれば良い
カズヤ「糸自体を弱体化させたらワンチャンあるかも」
ケール「効くの?」
カズヤ「わからない。だけどやってみる価値はある」
ケール「失敗したら終わりだね」
ナリア「それくらいしか方法は無いわね。ワンチャンスにかけましょう」
失敗したら終わりはケールの言う通りだ
効かなかったら打つ手は無い
命綱のようなものだ
アモン「無駄な会議は終わったのか?」
カズヤ「無駄かどうかは俺たちが決めることだ」
ナリア「そうよ。あんたが決めることじゃないわ」
俺たちが前を向くとアモンは軽蔑するように笑った
油断してる。今がチャンスだ
カズヤ「光魔法・光の弱体!!」
アモン「弱体?何の意味があんだよ」
ケール「体術強化・超超力斬!!!!」
ナリア「火魔法・地獄の業火!!!!」
俺が弱体をかけるとケールとナリアの同時攻撃が蜘蛛の巣に入った
ケールの刀身にナリアの強力な魔法が付与された
ケールの渾身の斬りで糸は真っ2つに切れ、残骸が砂のように消えていった
アモン「何ッ!!糸が切れただと!!?」
カズヤ「出力・火炎の息吹」
アモンは絶対硬度を誇る糸が切れたことで油断が無くなった
声色や表情に焦りが混じっているのが分かる
でも、もう遅い
俺は先程収納したアモンの魔法を放つ
火炎放射がアモンを飲み込むように向かっていく
自分の技でやられろ!!!!
カズヤ「嘘だろ……!!?」
ナリア「無傷……!!?」
アモンに火炎放射が直撃した瞬間、火炎放射が真っ2つに切れた
火炎放射が真っ2つに切れた間から見えたのは剣も持った無傷のアモンだった
アモンが殺意のこもった眼差しをこちらに向けてくる
無傷かよ!!化け物じゃねぇか!!
あの剣どこから出てきたんだよ!!?
アモン「あぁー面倒くせぇ……お前ら1人1人殺すの面倒くせぇ」
カズヤ「化け物かよ……!!?」
アモン「だから……まとめて殺してやるよ!!!!」
アモンは頭をかくと怒りに満ちた表情で叫んだ
完全にイカれた奴の表情だ
カズヤ「第2ラウンドとかあるのかよ……先言ってくれ……」
ナリア「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
第2ラウンドは聞いてない
あんなイカれてる奴とやりたくない(本音)
でも、退路は無い。殺るしか無いんだ
俺は覚悟の眼差しをアモンに向けた