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きっとこれが私にとっての大恋愛。
今までも、これからもキミが一番私を愛してくれてたし
私が一番キミを愛してた。
キミと別れたとしても、キミを忘れることはないし、
私達は運命の赤い糸で繋がっている。
誰かと手を繋ぐ度、キミのことを思い出し、
誰かからの「 愛してる 」を聞いても、
キミの声で再生される。
キミはきっと、一人目の運命の人なんだろうな。
キミと別れたあと、そんな馬鹿げたことを思った。
失恋ソングを聞いては、キミと過ごした時間を思い出して
涙する。
そんな無駄としか言いようがない時間は
これから先ずっと続いていくと思ったけれど、
5日で終わった。
1週間も経てば、キミとの思い出を全部消去して、
2週間も経てば、悲しみは癒えた。
1ヶ月も経てば、新しい恋をして、
2ヶ月も経てば、キミを思い出すこともなくなった。
1年も経った今、
キミの存在すらも忘れた。
キミとお揃いで買ったぬいぐるみのキーホルダー。
部屋を掃除したときに、出てきた。
買った当初には想像できないほど
汚れていて、
埃まみれだった。
別れたときは、お守りのように持っていて
夜になると、それを見て泣いていた。
いつまでも、これは捨てられないだろうな
と思っていた気がする。
「 なんだっけこれ。誰かからお土産でもらったやつかな? 」
今となっては、単なるゴミに過ぎない。
キミのことを思い出さないまま、
「 ま、もういらないか。 」
そう呟いて、躊躇なく
捨てた。
キミと行った水族館も、遊園地も、観光地も、
全部全部、初めて来たかのように振る舞う。
第一、誰かと来たことがある気がする、程度にしか思っていなかった。
キミとの思い出は全部、今隣にいる彼との思い出に上書きされた。
キミとのペアルックも、ペアアクセサリーも、
ペアリングさえも、
キミの存在を忘れたまま、
売れそうだな、と考えて
思い出を対価に金を手に入れた。
きっとキミもそうしてたんだろうな。
そして、彼と
接吻をしながら、
また思う。
——きっとこれが私にとっての大恋愛。