side 青
はぁッ…
じっと机に向かって編集作業中の僕
ストックも底をつきかけており本来なら動画を作らなければならないのだが……
彼の事があってから僕はあまり集中が出来ずにいた
青「あ”ぁッ……!」
今日は何だかいつも以上に集中出来なくて
PC画面を見つめても、意識はどこか遠く。
1度気分をリセットしようとやりかけの編集を保存してPCを落とした。
編集以外、と言えば特に何もする事は無くて
メンバーが誰か放送を取ってないか…と携帯を手にもつ
でもこんな時に限って誰も放送してなくて
それなら枠を取って僕が放送しようか…なんて思ったけど今のこの状態では到底無理で。
ふっと思いついた某動画投稿サイトを開く
特に見たい動画なんて無かったけど。
それでも何かこのモヤモヤが収まるまでの時間潰しに…と思って。
青「なんかねぇかな……」
特に何を検索するでもなくひたすらおすすめ欄を下へ下へとスライド。
青「あッ…?」
そこに流れて来たのは彼のMV。
UNCHAINだった
あんな事があっても彼が好きな事に変わりは無い僕はその動画を開いた
数秒の後彼の優しい声が流れだす
“また ネガティブを背負い込んで”
“不安 誰かに押し付けたくて”
青「ッ…!」
“叫んで 叫んで 変わらない思いを”
“誰かの嘘に流されぬように”
我慢していた涙はサビで溢れた
青「っく……ひっく……うぁッ……」
side 桃
桃「ぁッ……?」
ゲーム実況動画を撮っていた時にふっと何かが聞こえたような気がした
それと同時に何か嫌な予感がして。
気の所為だったらいいのだが俺のこの”嫌な予感”は大抵当たる
とりあえずこの撮りかけの動画は没にして近くにあったカバンを掴み家を飛び出す
この嫌な予感は誰のせいだろう
そう考えると行先は1つに絞れた
ころんだ。
なんでかは分からない
でも、何となくそんな気がした
桃「ころん!」
前に貰っていた合鍵を使って家に入る
どこからだろうか、泣き声がした
……嫌な予感はまた的中した
リビング…寝室…と部屋を探していく
そして最後、作業部屋の前に辿り着き
桃「ころん?居る?」
と呼びかける
すると、扉が薄く開いた
桃「ころん、入るぞ」
一言言ってから、その少しだけ開いた扉をもう少し開け体を滑り込ませる
中に入るところんは机に突っ伏していた
背中は軽く震え、隠しきれていない嗚咽が漏れていた
桃「こ〜ろ〜ん」
ころんの座る椅子の横に膝立ちになり背中に優しく手を置く
桃「大丈夫、大丈夫だよ」
そのまま一定のペースで背中を軽く叩いていればころんの体が大きく動く
と同時に俺に飛びかかってきた
後ろに倒れそうになるのを堪えころんの一回り小さな体を受け止める
桃「っとと……」
青「さとみくッ……グスッ」
桃「ん〜?どしたぁ」
青「あのねッ…ひっく」
何も聞かず言わずで背中を摩っていれば何があったのかを話し始めた
青「僕ッ…MV聞いてたのッ…」
桃「うん」
青「なーくッ…のッ…UNCHAINッ…」
桃「うん」
青「涙ッ…気付いたらッ…僕泣いててッ…」
最後の方支離滅裂だったが、なーくんのUNCHAINのMVを聞いていると気づいたら泣いてた、とまぁこんなとこだろう
桃「色々思い出したんだな…」
桃「大丈夫、大丈夫」
何が正しいのかなんて俺には分からない
でも正しい正しくないじゃなくて……
俺に出来る事をするだけ。
刺激を与えないよう声掛けは耳元でそっと
呼吸が少しでも乱れないよう背中を一定のリズムで軽く叩いて
どれほどそうしていただろうか
青「ふぇッ…うぁッ…うぁぁぁぁんッ…」
不意に泣き声が大きくなった
恐らく今日一の大きさ
桃「おぉ……どしたどした?ん?」
青「手ッ…ここぉッ…グスッ」
俺の袖を引っ張り必死に動かそうとしている
伝えたい事を言わず泣いてしらせるあたり少し幼児退行気味だろうか
桃「どしたの、どこがいーの」
ころんはその問いには答えず、まるで気づいてくれとでも言わんばかりに俺の胸に頭を押し付けた
桃「頭撫でてほしーの」
青「んぅッ……」
ころんの頭に手をやり優しく撫でると満足したのかすっかり泣き止んだ
頭撫でるってそんな落ち着くんかよ……
抱きしめたまま背中を叩く手を止め、頭を優しく撫でていると
青「ふわぁぁ……」
あらまでっかいあくび…と思った時には俺の腕の中のころんはすよすよと眠っていた
side No
桃「ちょ…トイレ…」
尿意を催しころんを下ろしてトイレへと駆け込むさとみ
その姿を追いかけるかのように
青「うぁぁぁぁぁぁぁんッ…」
ころんの大号泣
桃「ご飯作ってくっから待ってて?」
青「うぁぁぁぁぁんッ…やだぁぁッ…」
そのまま泊まる事にしたさとみは夕食を作ろうとキッチンへ向かった
が……
大号泣しながらさとみの腰に手を回しぎゅっと抱きついたまま離れないころん
青「さとみくんどこ行くの〜?」
桃「え?トイレだけど…」
青「あッ…まッ…僕もトイレ行く!」
幼児退行が治ったあともさとみから離れたくないころんなのだった
コメント
9件
幼児退行可愛すぎかよぉぉぉ 一緒にトイレっww甘々だぁ ツンデレからデレデレになるの最高