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「え?ここどこ?」
「新居です」
と、連れてこられた場所はいわゆるウォーターフロントのコンシェルジュ付きマンション。
多分、分譲。
そして、きっとお高い。
エレベーターに乗り込むと賢一は20というボタンを押した。
車を降りてからずっと私の手を握っているため、手を繋いだ状態でエントランスを抜けてエレベーターに乗り部屋の前に着いた。
カードを差し込むとカチリという音で解錠されたことがわかる。
手を繋いだままどんどん部屋の奥へ歩いていくと何もない空間が広がり、カーテンの無い大きな窓下には河川が広がり遠くは富士山がほんのり見えている。
「秘書課の一社員がこんなところに住んでいたら怪しまれるでしょ、なのでカモフラージュのために借りていたのがあの部屋なんだ」
「だから、ダンボールのままだったのね」
「そう、引っ越すことは決まっていたからね。どうしても、それなりのセキュリティが必要だと言うことでこの部屋に引っ越すことになっているんだ。まぁ、親から貰ったマンションだから偉そうなことは言えないけど」
手は繋いだまま窓の外の景色を見る。
「2ヶ月にはまだ少し早いけど、お試しの結果を教えてくれないか?俺は合格した?」