テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

菖蒲湯の効能

一覧ページ

「菖蒲湯の効能」のメインビジュアル

菖蒲湯の効能

1 - 無病息災のはずが

♥

777

2025年05月06日

シェアするシェアする
報告する

💙「かは……っ!んっ……」

💙「あーあーあー」


ぎゅうっ……。


ベッドで声を出そうと何度も試していると、後ろから全身を覆うように抱きしめられた。


💚「おはよぉ、どうしたのぉ?」


語尾が伸びるのはいつものこと。

俺にかまう時には、いつもこうなるこの男。


見なくてもわかる、今、こいつの鼻の下は伸びきっている。


全身が痛い。

おまけに喉が痛い。


昨日は、阿部に、風呂の中にどこぞから持ってきた長細い草を投げ込まれて、翔太ぁ、これで無病息災だよぉ〜なんて言いながら、のぼせて気が遠くなるまで愛された。


そして目を覚ましたら、何も身につけさせてもらえずに寝かされている。

早朝の空気はひんやり。


寒暖差でどうやら風邪を引いたみたいだ。


………声が出ない。


💙「どうしてくれる」


囁くような俺の声を聞いて、阿部もようやく俺の異変に気づいたようだ。


💚「アレ?風邪引いた?身体が熱いのは、熱のせい?朝からシたいんじゃなくて?」

💙「…お前、これ、無病息災どころじゃねぇぞ」


阿部は自分の方に俺を向かせると、『俺にうつして?治して?』と唇をすぼめた。

バカなのかいじらしいのかわからないけど、おそらく前者だ。


💙「バカ言ってないで、体温計持って来い…」


やばい。本気で熱くなってきた…。

思わず目を閉じると、追いかけるように唇の感触がして、ねっとりとした柔らかいキスの後で、阿部の声が降ってきた。


💚「ホントに具合悪そう。ちょっと待ってて」

💙「………ん」


気づくのが圧倒的に遅い男。

でもそこからの行動は早かった。


💚「38度もある。病院行く?」


頷くと、阿部はテキパキと動き出す。


💚「マイナンバーカードどこ?」

💚「ほら、これ着て。マスク付けて」

💚「行くよぉ、捕まって」


甲斐甲斐しく世話を焼かれながら、阿部に抱えられるようにして、車に乗せられ、病院に連れて行かれた。


熱に浮かされた頭に、一瞬、仕事のことがチラついたが、各方面への連絡調整も知らない間に済ませてくれたシゴデキ阿部である。

俺も頼りになる伴侶を持ったものだ。

いや、そもそも風邪引いたのはこいつのせいだからプラマイマイナス?


診断はあっさり。

やっぱり、風邪。

お大事にしてくださいね、と薬を貰って帰る。


💚「翔太、お粥作るから寝てて」

💙「お前、仕事は?」

💚「そんなの奥さんのピンチに行っていられないでしょ」

💙「ダメだ。今からでも行って来い」


寒気に身震いしながら時計を見た。

阿部の予定は、今からでも行けば間に合う、確か。


💚「俺、愛妻家で通ってるから平気だよ?」

💙「バカ、お前まで仕事先に迷惑かけんな。俺なら大丈夫だから」

💚「……わかった。とりあえず、ゼリーとか水とか買ってあるから、薬飲んでちゃんと寝ててね」

💙「おぅ」


なんとか答えて目を閉じた。

寒いし、全身が怠くて仕方がない。

風邪は風邪でも、相当タチが悪いやつみたいだ。そのまま、頭まで布団を被って、俺はいつの間にか寝てしまっていた。

この作品はいかがでしたか?

777

コメント

2

ユーザー

もーうこのバカップル!!😂😂

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚